――肌の乾燥は、秋や冬だけに起こるものなのでしょうか?
肌の乾燥は秋冬だけに起こると思われがちですが、春や夏にも起こります。
春夏で問題になるのが「エアコン」や「紫外線」の影響です。オフィスワークの方など、エアコンの効いた環境に1日中いることが多い方の場合には、汗をかく機会が少ないため、肌が乾燥しやすくなります。また、エアコンの風にあたることで特にお顔の肌が乾燥しやすくなります。
また、春先から増える紫外線も、間接的に乾燥を招く原因になります。紫外線を浴びると、肌の細胞内に大量の「活性酸素」という物質を発生します。活性酸素は、肌の細胞を傷つけバリア機能を低下させるため、乾燥につながります。
――秋冬の乾燥は、気温や湿度の低下が原因でしょうか?
そうですね、秋冬に乾燥を感じやすい理由は二つあります。
一つ目は、気温が低くなり外気の湿度が下がることで、皮膚から水分が飛びやすくなるためです。ただし、湿度は地域による違いもあります。例えば、雪が多い日本海側よりも、雪がない太平洋側の方が湿度は低いです。
二つ目は、体温が下がることで「皮脂分泌」の低下が起こるためです。汗の量が減り、皮脂の量も減ることで、肌がカバーされなくなるため、乾燥しやすくなります。
加えて、熱いお風呂で皮脂が流れてしまうことも、乾燥の原因となります。
――加齢に伴って肌は乾燥しやすくなりますか?
加齢に伴って、皮脂を分泌する「皮脂腺」の活動が低下するので、肌は乾燥しやすくなります。皮脂腺は思春期あたりから増加し、その後、年齢と共に徐々に減少していくのが一般的です。30代、40代あたりから、皮脂線の活動は低下していくと考えたほうがよいでしょう。
また、肌は本来、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの肌の潤いやハリに関わる成分を自ら生み出す力を持っていますが、この生成力が加齢と共に強くなっていくことはありません。
――肌が乾燥することで、どのような症状が発生しますか?
肌の乾燥、つまり角質層の水分量が減少して肌のバリア機能が低下すると、「しわ」や「毛穴」などの肌トラブルが起きやすくなります。
皮膚表面の水分量が少ないと、皮膚が折れ込んで戻らなくなる「小じわ」が発生しやすくなります。また、肌が乾燥していると角質が硬くなり、毛穴に角栓が溜まってしまうことも。乾燥を補うために油分が過剰に出て、乾燥しているのにベタベタするなどのトラブルが起きることもあります。
その他には、40代以降、いわゆる「たるみ毛穴」が起きているところに肌の乾燥が加わると、毛穴同士がつながって線状のしわのようになってしまうことがあります。
乾燥はさまざまな肌トラブルに派生しますので、保湿のためのスキンケアを正しく行っていくことがとても大切です。