加齢によって悩みが深くなっていく「しわ」。しわ改善化粧品などで入念にケアしている人も多いはず。原因やセルフケアに関するさまざまな情報がありますが、一部誤解もあるという驚きの事実が判明しました…!ここでは形成外科医の監修のもと、正しい原因や対策まで解説します。

監修・取材協力:當山 拓也 先生(当山美容形成外科 院長)

しわができる原因

30~40代ごろからしわが気になり始める人が多くいることでしょう。とくに皮膚の薄い人はしわが目立ちやすい傾向にあります※1 が、しわは皮膚の表面だけで起きているのではありません。体の外側と内側それぞれに原因があります。

※1 監修医師の臨床経験に基づく

乾燥

しわの初期症状の原因は乾燥です。(1) 「小じわ」「ちりめんじわ」ともいわれる細かいしわは、気温や湿度が低い環境による乾燥で肌表面の水分が失われ、肌のキメが乱れることで現れます。(2),(3)

紫外線

紫外線は皮膚(真皮)にあるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を変性させ、これら肌のハリ を保つ成分を産生する線維芽細胞も損傷させてしまいます。この現象を「光老化」とよび、結果、皮膚が厚くゴワゴワになり、深く直線的なしわが現れてしまうのです。(1)

※弾力と同義

また紫外線は間接的に乾燥も招くので注意しましょう。紫外線によるダメージで表皮のターンオーバー(生まれ変わり)が乱れ、潤いを守るバリア機能が低下してしまうため、乾燥が引き起こされてしまいます。(4)

加齢

私たちの顔は骨・筋肉・皮下脂肪(皮下組織)・真皮(皮膚)・表皮(皮膚)の五つの層から成り立っており、以下の層で加齢による変化が起き、しわが刻み込まれる要因となります。(5)

※イメージ
文献(5)を参考に作成

1.骨密度が減少し、顔の骨が縮む

※イメージ
文献(5)を参考に作成

顔の骨は「土台」として筋肉や皮下脂肪・皮膚(真皮・表皮)を支えていますが、加齢によって、体だけでなく顔も骨密度が減り、小さくなります。具体的に説明すると、こめかみや眼窩(がんか:眼球が入っているくぼみ)のまわりは広がり、頬・あごのまわりの骨はへこみ、痩せこけます。顔の骨が衰えてしまうことで各層を十分に支えられず、重力によって垂れ下がり、しわやたるみを引き起こすのです。(5)

2.皮下脂肪の量の減少や移動(下垂)

※イメージ
文献(5)を参考に作成

額・こめかみ・目の下・頬は皮下脂肪が元の位置から下に移動(下垂)しやすい部位です。なかでも頬の皮下脂肪は元々あった場所から下に移動(下垂)し、皮下脂肪の量が減ることで、しわの溝が深くなってしまいます。(5)

3.肌のハリや弾力性の低下

※イメージ
文献(5)を参考に作成

加齢はもちろん、先ほど述べた紫外線ダメージが長年蓄積することで真皮(皮膚)の変化が起こります。(1)

加齢で真皮に影響を及ぼすのが、女性ホルモンの「エストロゲン」です。このホルモンは肌の弾力性を保つコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸生成に関わっていますが、40代以降に急激に分泌が減少してしまいます。(1),(6) さらに、これらを産生する線維芽細胞も損傷または機能低下が起こり、肌のハリがなくなってしまい、たるみが目立ってしまうのです。(6)

表情のクセ

日常的に表情筋を収縮させる表情のクセは、しわが刻み込まれやすい原因となります。(7) たとえば、以下のようなクセが挙げられます。

  • 遠いもの、または小さいものを見るときに眉をひそめたり、または目を細めたりする
  • イライラなどの不快な気持ちを感じた際、眉間にしわを寄せてしまう

しわの種類

実はしわといっても種類があり、特徴が異なります。代表的な4種類をご紹介しましょう。

小じわ(ちりめんじわ)

肌表面の乾燥によって表皮に現れます。しわのなかでも比較的初期の状態です。別名「ちりめんじわ」ともよばれます。(8)

大じわ(構造じわ)

※イメージ
文献(5)を参考に作成

加齢や紫外線のダメージによって、真皮に存在するコラーゲンやエラスチンなどの弾力線維が皮膚の重力を支えきれなくなることで生じます。(7)

表情じわ

表情じわは、笑う・怒るなど表情を表す際にできるしわのことを指します。(8)

表情を動かすと顔の筋肉(表情筋)が収縮し、眉間や目尻、口の横、額などの皮膚が折りたたまれ、しわが現れます。本来、表情じわは一時的なものですが、繰り返し筋肉を動かし続け、加齢とともに皮膚のハリや弾力が低下すると、表情をつくっていないときもしわが定着してしまうのです。(8)

※イメージ
文献(5)を参考に作成

表情じわに該当する部位(種類)

  • おでこ

おでこの筋肉は、目まわりの筋肉と連動しており、目を開くときに自然と動きやすく、力も入りやすいため、しわが生じやすい部位です。(9) メイクで隠そうとしても、くぼみにファンデーションが詰まって余計に目立ちやすい傾向にあります。また疲れた印象を与えてしまいがちです。

  • 眉間

眉間は眉を寄せた際にしわが生じやすく、(9) 悩む人が多い部位の一つです。老けた印象だけでなく、不機嫌な印象や人相が悪く見えてしまうなど、印象面で損をしてしまいがちです。

  • 目尻

笑ったときなどにできるしわで「笑いじわ」ともよばれます。もともと目のまわりの皮膚は薄く、さらに皮膚や筋肉の衰えによって、笑ったあと、表情を戻しても、しわが残ったままになってしまいます。(8) 年齢を感じさせやすい部位です。

  • あご

口を閉じたときに筋肉が緊張して、下あごの先にしわができることがあります。(9) 歯を食いしばるくせがある人にも現れやすい傾向です。俗に「梅干しじわ」ともよばれます。

たるみじわ

文字通り、肌のたるみ(下垂)によって生じます。肌内部の形状が崩れた結果、影ができ、しわのように見える境界線・溝です。(7) 以下に代表的なたるみじわをご紹介します。

代表的なたるみじわ

鼻の横から上唇に「ハ」の字に現れるラインで、悩む方が多いたるみじわです。※3 医学用語では「鼻唇溝(びしんこう)」とよばれます。

※3 監修医師の臨床経験に基づく

医学的用語ではなく、マンガの主人公にちなんだ名称で、目頭の下から頬にかけて斜めに伸びるラインを指します。

同じく医学的用語ではなく、マリオネット人形の口元と似ていることからよばれている名称です。口角からあごに向かって下へ伸びる、たるみを感じさせるラインを指します。

せっかくの対策が逆効果に!?医師が明かす、しわのセルフケアの誤解と真実

スキンケア・保湿

レチノールやナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)が配合された「しわ改善化粧品」が普及し、スキンケアによるしわ改善の効果が期待できるようになりました。(7),(10) しかし、すべてのしわを改善できるわけではありません。小じわには有効ですが、表情筋の収縮によって現れる表情じわや、骨・皮下脂肪・支持靭帯などの影響を受けて生じるたるみじわの根本的な改善は難しいでしょう。(1),(10)

とはいえ、小じわを招く乾燥をはじめ、大じわなどの原因となる肌のハリ・弾力の低下を防ぐために、スキンケアは重要です。

ケアする際、手やコットンで叩き込んだり、こすったりすることは避け、優しく丁寧に行ってください。また高機能な化粧品だからと量を控えず、たっぷり使用しましょう。

紫外線対策

小じわや大じわなどに影響を及ぼす「光老化」を引き起こし、さらに間接的に乾燥を招く紫外線。(1),(11) 根本的なしわ改善にはつながらないものの、しわ防止・悪化を防ぐためにしっかりと対策してください。

基本のケアはやはり日焼け止めですが、塗り直す時間や使用量、塗る順番など正しく使えているか見直してみましょう。また、日焼け止めだけでは紫外線を100%防ぐことはできないので、(10) 以下のような工夫も大切です。

  • 気象庁のUVインデックス(UV指数)をチェック
  • できるだけ日陰を利用する
  • 日傘や帽子、サングラスを使う
  • 紫外線の強い時間帯の外出を避ける

マッサージ

残念ながら、しわ改善のためにマッサージを行うのはおすすめできません。※4

※4 監修医師の臨床経験に基づく

マッサージを行うことにより、肌の摩擦を起こし、肌にダメージを与えるリスクがあります。(12),(13)

また、しわ改善ではなく、顔のむくみ対策やリラクゼーションを目的にマッサージをする際は摩擦に注意し、やりすぎないよう注意してください。

生活習慣の見直し・改善

しわの直接的な改善にはつながりませんが、肌の健康を保つうえで生活習慣は大切です。具体的には以下のポイントを押さえておきましょう。

睡眠

眠りは肌とも密接な関わりを持っています。睡眠時に分泌される成長ホルモンによって、表皮のターンオーバーが促されます。(14),(15) 睡眠不足になると、ターンオーバーは乱れ、表皮のバリア機能の低下などを招きます。結果、小じわが生じやすくなってしまうのです。(7),(8)

食事、栄養素

美肌に役立つ代表的な栄養素としては、肌や筋肉をつくるタンパク質と、肌をダメージと老化から守る抗酸化ビタミン(ビタミンA・E・C)があります。(1),(16) 意識的に摂取したいものの、これらの栄養素のみをとればよいというわけではありません。プロテインなどの栄養補助食品も活用しつつ、栄養バランスを大切にしましょう。

タバコ

長期間にわたる喫煙は、しわなどの肌の老化に影響を及ぼします。(7) ある調査では、非喫煙者と喫煙者を比べると喫煙者はしわのある人が多いという報告があります。(17),(18) 要因として、卵巣機能(女性ホルモン)への悪影響、(19) 体の末梢への酸素供給の減少、(20) ビタミンCの分解を促す(21) などが引き起こされるためです。受動喫煙でもリスクがあるので、注意しましょう。(22)

表情の意識・見直し

笑うなどの表情をつくることは制限をかけず、自然に過ごしましょう。

しかし、原因で挙げたような表情グセ(眉をひそめる、目を細める)は他者から見てマイナスな印象を与える可能性があります。なるべくこれらのクセを起こさないよう意識・見直しを行うことは表情筋の収縮が起きる頻度・機会を減らすことができるでしょう。※5

※5 監修医師の臨床経験に基づく

【種類別】美容医療で目指せる「しわ治療」

しわ対策においてセルフケアは必要であるものの、改善できるしわの種類は限定的です。

自力では対処が難しい肌の奥へのアプローチが必要であれば、美容医療を選択肢に入れてみましょう。肌の状態や希望に応じて、さまざまな施術・治療法を選択できます。

しわの種類別に代表的な施術・治療法をご紹介しましょう。※6

※6 国内承認薬または機器が存在しない治療を含む可能性がありますが、それらを推奨するものではありません

小じわ:トレチノイン治療・ケミカルピーリング

トレチノインはビタミンAの一種で、しわをはじめ、ニキビやシミの治療医薬品として用いられています。(1) 肌のターンオーバー促進やコラーゲン生成作用でしわを改善する効果が期待できる、医療機関でのみ扱える医薬品です。(1) ケミカルピーリングは、肌の表面に残っている古い角質を酸の力で取り除き、乱れたターンオーバーを正常な周期に戻すための施術です。(23) 肌への負担が少なく、トレチノイン同様しわだけでなく、ニキビやシミなどの治療にも用いられています。(1)

大じわ:ヒアルロン酸注入治療、レーザーの照射治療

真皮層の変化・衰えによって生じる大じわ。治療の選択肢の一つになるのがヒアルロン酸注入治療です。潤いや皮膚の弾力性を保つヒアルロン酸を直接注入することで、しわ改善の効果を期待できます。(5) もう一つの代表的な治療法はレーザーによる照射治療で、光エネルギーを熱に変換し、コラーゲンやエラスチン産生の活性化を狙います。(7)

表情じわ:ボツリヌス治療

ボツリヌス治療はダウンタイム※7 が少ないとされる表情じわの代表的な治療法です。「ボツリヌストキシン」という成分を表情筋に注入し、筋肉の緊張をゆるめ、リラックスした状態にすることでしわ改善の効果が期待できます。(7),(24)

※7 施術後から回復までの期間のことで、施術前の生活を取り戻せるまでの期間

たるみじわ:ヒアルロン酸注入治療、高周波・超音波の照射治療、糸の治療

たるみじわは骨や靭帯、皮下脂肪などの変化によって生じるため、改善には以下のような複数の施術を組み合わせて治療するケースが多く見られます。(5),(25) ※8

※8 併用治療の有効性・安全性、またどれくらい期間を空けるかなどは検証されておりません

しわを改善したい場合は、まず医師に相談を

しわが気になり始めたら、多くの人がまずスキンケアなどのセルフケアから始めているはずです。

しかし、しわの種類によって原因も必要な対策も異なるため、気になる方は医師に相談することが改善への近道です。

頼りになるクリニックを探すポイントとしては、医師自らがカウンセリングを行っているかをチェックしてみましょう。また、施術後に後悔・ギャップが起きないよう、医師への相談・カウンセリングを重ねられるかも大切です。※9

※9 監修医師の臨床経験に基づく

参考文献
(1) 安田 利顕,漆畑 修:美容のヒフ科学 改訂 10版:南山堂.2021 p61
(2) 曽山聖子:美容皮膚医学BEAUTY:2024.7(6)4-9
(3) 川上 梨沙,山口 一:日本建築学会環境系論文集;2020;85(778)913-921.
(4) 須賀 康: 順天堂医学.2006;52(3);429.
(5) 古山 登隆:解剖から学ぶヒアルロン酸注入療法:メディカルレビュー社.2020
(6) 杉野 宏子:美容皮膚医学BEAUTY.2023.6(3);40.
(7) 川田 暁:美容皮膚科ガイドブック第3版:中外医学社.2023
(8) 大慈弥 裕之, 古山 登隆 他:目もとの上手なエイジング―眼瞼下垂から非手術的美容医療,エイジング世代のメイクアップまで―.2021
(9) アルディス・ザリンス:スカルプターのための美術解剖学2 表情編:株式会社ボーンデジタル.2017
(10) 藤倉 千鶴,諏訪大介 他:診療と新薬.2023;60;651.
(11) 須賀 康:順天堂医学.2006;52(3);429.
(12) FANCL 「日常の継続的な摩擦刺激が皮膚の敏感性を高め 老化を促進するメカニズムを発見」参照2026年3月11日
(13) 野々村 美宗:化学と教育 72巻3号(2024年)104-107.
(14) 田ヶ谷 浩邦:生体医工学.2008:46(2):169-176
(15) 白土 真紀:体力科学.2022;71(1);134.
(16) 二木 鋭雄:栄養学雑誌.1993;51(3);118
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(18) Kadunce, D P; Burr, R; Gress, R; Kanner, R; Lyon, J L; Zone, J J Annals of internal medicine, 1991-05, Vol.114, (10), pp.840-4
(19) Jinghan Cui, Ying Wang: Journal of Ovarian Research. 2024.17(8):
(20) 石原 陽子,杉山 幸比古 他: 日本胸部疾患学会雑誌.1981;19(10);721
(21) 西川 善之:ビタミン.1994;68(5-6);340.
(22) Sirintip Chaichalotornkul, Thamthiwat Nararatwanchai: Biochemical and Biophysical Research Communications. 2015: 456: 92-97
(23) 横山浩治:Bella Pelle2017.2(2):p24-27
(24) 本田 正史,武中 篤:難治性過活動膀胱.2021;29(1);47.
(25) 宮田 成章:イチからはじめる美容医療機器の理論と実践:全日本病院出版会.2021 p142-156

JP-AGNA-220150

監修・取材協力

当山美容形成外科 院長 當山 拓也先生

当山美容形成外科 院長
當山 拓也 先生

東京医科大学卒業後、東京大学医学部形成外科学教室入局。東京警察病院、杏林大学形成外科などで研鑽を積む。リッツ美容外科・東京院、東京西徳洲会病院医長、アヴェニュー表参道クリニック副院長を経て、2016年から当山美容形成外科副院長を務め、翌年より院長に就任。

親子3代にわたって、地域密着の診療を続け、2022年で開業70周年を迎える。

当山美容形成外科

住所:沖縄県那覇市久茂地2丁目11-18 当山久茂地川医邸4・5階

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