ヒアルロン酸は体内にもともと存在する保水成分。おでこ(額)にヒアルロン酸を注入することで、ふっくらとした丸みのある形にすることができます。それだけでなくおでこにハリを出すことができて、エイジングケア効果も期待できます。
おでこのヒアルロン酸注入のメリットやデメリットについて、藤井 先生に解説していただきます。
監修・取材協力:藤井 聡美 先生(Perle Clinic 院長)
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ヒアルロン酸は体内にもともと存在する保水成分。おでこ(額)にヒアルロン酸を注入することで、ふっくらとした丸みのある形にすることができます。それだけでなくおでこにハリを出すことができて、エイジングケア効果も期待できます。
おでこのヒアルロン酸注入のメリットやデメリットについて、藤井 先生に解説していただきます。
監修・取材協力:藤井 聡美 先生(Perle Clinic 院長)
目次
おでこへのヒアルロン酸注入について藤井 先生は、「患者さんから直接希望されることは少ないが、お悩みを聞いて提案することが多い」と話します。その理由や利点を伺いました。
横から見た時に、おでこがふっくらとして丸みを帯びていると、かわいらしく、若々しく見えるといわれています。(1)
加齢により骨や筋肉が縮んでいくと、おでこには眉の上を中心にくぼみや、凹凸感が生じます。その結果、影ができて、老けて見えたり、男性的な印象を与えたりしてしまいます。(1)
※イメージ
文献(1)を参考に作成
おでこをなめらかに整えると、顔の印象を若々しく変化させることが可能です。(1)
おでこのデザイン(どの部分に最も丸みを持たせるか)は、顔全体の印象を見て、不自然にならないよう判断します。(1)
「おでこの中心を高くすると、おでこを広く見せることができる」「中心より下を高くすると、面長が解消されやすい」といった傾向はありますが、顔全体で見たときにバランスのとれたデザインになっていることが大切です。
※監修医師の臨床経験に基づく
おでこは顔において占める面積が大きいパーツです。「顔の黄金比」といわれる、世界共通で「美しい」と感じる理想的なバランスにおいては、おでこ(額の髪の生え際から眉下)は顔の縦幅の3分の1を占めます。(1)
占める面積が大きい分、顔全体に与える印象も大きく、おでこを整えると顔全体の印象が変わりやすいといえます。
※監修医師の臨床経験に基づく
※イメージ
文献(1)を参考に作成
特に、顔に立体感が出て、垢抜けた印象を与えたり、若々しさにつながったりします。その際に重要なのが、正面から見た顔のバランスだけでなく、横顔や斜めから見たシルエットなど、トータルのバランスを考慮することです。(2),(3) 実際、当院では、斜めや横顔のシルエットの変化を喜ばれる方が多いです。
おでこのみにフォーカスせず、顔全体のバランス、顔立ち、年代などに合わせておでこをデザインすると、バランスが整いやすくなります。(2)
※監修医師の臨床経験に基づく
※イメージ
文献(4)を参考に作成
ヒアルロン酸は、肌の保水性を長期間持続させ、肌のハリや弾力を高められるため、小じわ・大じわの改善が期待できます。(5)
比較的初期の乾燥小じわの場合、化粧品による肌表面の保湿によって改善が期待できることもあります。(4) しかしながら、表情じわや大じわのように、繰り返し刻まれ定着したしわについては、セルフケアだけでの改善は困難です。のちほど紹介する美容医療での改善を目指すのが、効果的なアプローチといえるでしょう。
続いて藤井 先生に、おでこへのヒアルロン酸注入のメリットについて伺いました。以下のようなメリットがあることも、おでこのケアとしてヒアルロン酸注入を選ぶ理由になっているようです。
ヒアルロン酸は、肌に注入した直後から効果を発揮します。(6) 注入後まもなくから、注入部位にボリュームが出ることに加え、ヒアルロン酸が水分を蓄えることで肌の水分量が増えるため、肌をなめらかに美しく見せることも可能です。
※監修医師の臨床経験に基づく
ヒアルロン酸注入治療は、手術に比べてダウンタイム(施術後から回復までの期間)が短く済みます。また、もともと体内に存在する物質であるため、アレルギーの発生もまれで、(1),(8) ほかの治療と比べると心身への負担が少ない治療といえます。
ヒアルロン酸注入治療では、入れすぎ(過剰注入)を防ぐため、仕上がりを確認しながら少しずつ注入をしていきますが、注入そのものにかかる時間は、ヒアルロン酸注射1本あたり5~10分ほどです。(7)
仕上がりが気に入らなかったり、合併症につながりそうな兆候が出たりしている場合には、「ヒアルロニダーゼ」という、ヒアルロン酸の分解を促す薬剤を使って、元に戻すことが可能です。※ (1),(8)
※国内承認薬または機器が存在しない治療を含む可能性がありますが、それらを推奨するものではありません
おでこのヒアルロン酸注入には、メリットがある一方、いくつかのリスクやデメリットも存在します。施術前には、十分なカウンセリングを受け、メリットだけでなくデメリットについても理解したうえで決断することが重要といえます。おでこのヒアルロン酸注入のリスクやデメリットについて、藤井 先生に伺いました。
肌に注入されたヒアルロン酸は、時間が経つと徐々に分解され、吸収されていきます。(1) そのため、定期的に注入を行い、メンテナンスをする必要があります。効果の持続期間は、製材や注入量に応じて異なり、約6か月~2年ほどといわれています。(1),(9)
ヒアルロン酸注入治療は、注射だけで顔のラインを整えられる治療法ですが、美しく仕上げるにはテクニックが必要です。(5)
ヒアルロン酸は水と結びついて膨らむ性質を持っています。(1) 技術や経験が足りない医師が、その性質を考えずに注入してしまうと、注入部位が下がったり、ボコボコと波打ったり、仕上がりが均一にならないことがあります。(1)
ヒアルロン酸を誤って血管に注入してしまうと、事故につながってしまいます。おでこは、血管が多く、高度なテクニックが求められる部位です。ごくまれですが、失明や血流障害、重篤な合併症などが起こるリスクもあります。(1),(5)-(8) 事故を避けるためにも、経験豊富な医師に施術を受けることが大切です。
おでこのヒアルロン酸注入を行う際の大まかな流れを、藤井 先生に教えていただきました。
施術時間 | 各部位5~10分程度(1か所あたり) |
麻酔 | ブロック麻酔や笑気麻酔を使用 |
ダウンタイム※1 | 数日~1週間程度 |
起こりやすいリスク※2 | 内出血、腫れ、むくみ、赤み、かゆみ、痛み、塞栓※3、不自然な凹凸など |
傷跡 | ほとんど目立たない |
持続性 | 約6か月~2年程度 (注入部位や回数などによる) |
メイク | 施術当日から可能ですが、感染予防のため3時間程度経過してから、もしくは翌朝以降を推奨 |
入浴・洗顔 | 施術当日から洗顔・洗髪・入浴が可能ですが、感染予防のため、お湯につかるのは施術の翌日以降を推奨 |
顔のマッサージ・美顔器の使用 | 1か月程度は控えたほうがよいでしょう ※変形を招いたり、早期吸収が促されたりする可能性があります。うつぶせ寝にも注意 |
運動 | 施術当日は、激しい運動を避けましょう |
飲酒 | 施術の翌日以降を推奨 |
妊娠中・授乳中の施術 | 安全性が確立されていないため、避けること |
文献(1),(6),(8),(9)を参考に作成
※1 ダウンタイム:施術後から回復までの期間のことで、施術前の生活を取り戻せるまでの期間
※2 起こりやすいリスク:注入直後~注入後4週間以内に起こりやすいリスク
※3 塞栓:外部から血流内に入った異物や、血管内に生じた血栓が離れて運ばれ、血管をふさいでしまうこと
ヒアルロン酸注入を希望する場合は、まず、メイクを落とした状態でカウンセリングを受けます。そして、医師が「治療が可能」と診断したら、次の手順で施術を行います。(1)
処置完了後は、問題がなければ帰宅してOKです。
当院では、術後にドリンクの提供をしており、それを飲みながら注意点の説明と経過観察をかねた時間を30分ほど設けています。
藤井 先生には、おでこのヒアルロン酸注入に関する気になる疑問についても教えていただきました。
ヒアルロン酸注入による顔のパーツのボリュームアップ効果は、注入の直後から実感することができます。(1)
直後の仕上がりが良くても、後日ボコボコになってしまう場合は、表情のクセが関係している可能性があります。その場合は、表情じわの治療を併用するとよいでしょう。(1)
見た目に対して違和感がある場合、自分では触らずに担当の医師やクリニックに相談することをおすすめします。ヒアルロン酸を注入した部位を強く押すなどしてしまうと、形が変わってしまうことがあります。医師から指示がない限り、基本的に注入部位には触らないようにしましょう。
なお、痛みや腫れ、目が見えづらいなどの違和感がある場合は、重大な副作用の兆候である可能性も考えられます。(8) むやみに触らず、すぐに担当の医師やクリニックに相談しましょう。
おでこのヒアルロン酸注入にかかる値段は、注入する製材の量や種類、さらにクリニックによって異なります。多くの場合は1本(1cc)あたり数万円の値段が設定されています。
注入する製材の量や種類は一人ひとり異なるので、まずはカウンセリングでご相談いただくとよいでしょう。
ヒアルロン酸注入以外で、おでこの形を整えたり、しわを改善したりする治療法としては、外科的手術(プロテーゼ挿入法)や脂肪注入療法が挙げられます。(10),(11)
※国内承認薬または機器が存在しない治療を含む可能性がありますが、それらを推奨するものではありません
プロテーゼ挿入法は、シリコンでできたプロテーゼという人工物を挿入して、おでこの形を整える方法です。(10) ヒアルロン酸に比べて持続期間が長く、効果が半永久的に続きます。
ただし、外科的な処置であるため、ダウンタイムが注入治療よりも長い時間必要になるほか、ごくまれですが感染症のリスクが伴います。また、期待した形状にならなかったり、ごくまれにですがプロテーゼがズレたり変形するなどのトラブルが起こる可能性もあります。(12)
脂肪注入療法は、太ももなどから採取した脂肪を用いて形を整える治療法です。(11) 外科的手術とヒアルロン酸注入治療の中間に位置します。(11)
自己組織を注入するため、アレルギーが起きにくいというメリットがありますが、一方で注入した脂肪が定着しにくく、思っていたような効果が得られにくいというデメリットも存在します。(11)
ヒアルロン酸注入、プロテーゼ挿入、脂肪注入療法のなかから、自分に合った最適なおでこの形成治療を選ぶには、まず、医師に自分の悩みや希望を率直に相談することが大切です。悩みや希望を聞いた医師は、あなたの状態に合わせた施術方法を提案してくれるはずです。
また、さまざまな選択肢を知るために、複数のクリニックでカウンセリングを受けることも大切です。複数の医師の意見や選択肢を比較して、信頼できそうなクリニックを選びましょう。
参考文献
(1)古山 登隆: 解剖から学ぶヒアルロン酸注入療法: メディカルレビュー社. 2020
(2)室 孝明: 美容皮膚医学 BEAUTY. 2023: 6(3): 28-37
(3)升井 一朗, 福田 仁一, 他: 日本顎変形症学会雑誌. 1996: 6(2): 162-169
(4)川田 暁: 美容皮膚科ガイドブック第3版: 中学医学社. 2023
(5)一瀬 晃洋:美容皮膚医学 BEAUTY. 2020. 3(1): 22-27
(6)望月 香奈:美容皮膚医学 BEAUTY. 2020. 3(1): 35-44
(7)岩城 佳津美:美容皮膚医学 BEAUTY.2020.3(1): 14-21
(8)大慈弥 裕之:ヒアルロン酸注入治療安全マニュアル:克誠堂出版. 2018
(9)田中 志保:モダンメディア. 2021;67(10):421-426
(10)倉片 優: 美容皮膚医学 BEAUTY. 2023. 6(3): 12-20
(11)市田 正成: 美容皮膚医学 BEAUTY. 2020 .3(1): 86-92
(12)自由が丘クリニック「額プロテーゼ」 https://jiyugaokaclinic.com/medical/hitai/ (2025年3月17日閲覧)
産業医科大学卒業。大手美容外科、美容皮膚科の院長に就任。
自身の妊娠出産や育児を通じて、同じような悩みを持つ方を応援したいという思いからクリニックを開業。
「患者様と長いお付き合い」をコンセプトに、5年後、10年後を見据えた予防の観点からのオーダーメイドな美容医療を提供している。
Perle Clinic
住所:東京都中央区銀座1-9-13 プライム銀座柳通りビル5F