ヒアルロン酸は、肌の潤いを保つ役割を果たす物質で、もともと私たちの体内に存在しています。皮膚とのなじみがよく、整形外科や眼科をはじめとした医療分野でも幅広く使用されています。(1)

美容医療におけるヒアルロン酸の注入治療もまた、代表的な治療法の一つです。一方で、針を使うことや異物(ヒアルロン酸)を注入することへの不安感、副作用のリスクなどから治療を躊躇している方もいらっしゃることでしょう。しかし、適切な治療を受けることで、しわの自然な改善を目指すことができ、施術を受けたその日から効果を実感しやすいとされる治療です。(2)

美容医療におけるヒアルロン酸注入治療の特徴や治療手順、起こり得る副作用などについて解説します。

監修・取材協力:古山 登隆 先生(医療法人社団 喜美会 自由が丘クリニック 理事長)

ヒアルロン酸とは?

ヒアルロン酸注入治療のイメージ

ヒアルロン酸とは、私たちの皮膚や軟骨などの組織中に広く存在するゼリー状の物質です。(3) 高い保水力があり、とくに皮膚(真皮)においては、肌の土台となる細胞の間に存在して水分を蓄え、皮膚の弾力性や潤いを保つ成分として欠かせません。(1)

しかし、ヒアルロン酸は30代ごろから減り始め、加齢とともに徐々に少なくなっていくといわれています。(4) ヒアルロン酸が減った肌は、十分な水分を保持できないため、ハリ※1 がなくなり、しわが発生するのです。(2)

※1 弾力と同義

ヒアルロン酸注入治療の特徴

ヒアルロン酸注入治療とは、表情をつくった際に生じる表情じわや、ほうれい線ゴルゴ線をはじめとするたるみじわ、加齢による顔のボリューム減少の改善、小じわの改善、フェイスラインやあごの形成、唇のボリュームアップといった目的で、皮膚にヒアルロン酸を注入する治療法のことです。(5)

ヒアルロン酸注入治療がしわなどの改善になぜ有効なのか、その理由を詳しく説明します。

しわの原因は顔の奥にある

私たちの顔は、骨・筋肉・皮下脂肪(皮下組織)・真皮(皮膚)・表皮(皮膚)の五つの層からできています。(2) しわは皮膚の表面だけで起きているように見えますが、実は加齢とともにこれらすべての層に変化が起きているのです。

たとえば顔の骨は、加齢とともに骨密度が減少して小さくなります。こめかみ、眼窩(がんか:眼球が入っているくぼみ)のまわりは広がり、頬・あごの骨はへこみ、痩せこけていきます。(2)

顔の土台である骨に変化が起きると、皮下脂肪(皮下組織)、真皮(皮膚)、表皮(皮膚)を十分に支えられなくなるため、垂れ下がってたるみやしわを引き起こします。(2)

“痩せ”や“コケ”は老けた印象の原因に

額やこめかみのへこみ、頬のコケは、皮下脂肪がもともとあった場所から下に移動(下垂)して、元の場所がボリュームダウンすることによって引き起こされます。(2)

「痩せ」や「コケ」が、年老いた印象に直結するイメージはあまりないかもしれません。しかし、こめかみや頬が痩せたり、位置が下がってきたりすると、顔の印象に大きく影響します。

つまり、骨や皮下脂肪の減少を補ってあげることが、印象改善の重要なポイントであるといえます。(2)

ヒアルロン酸注入なら、深いしわにも対応可能

注入部位にあったヒアルロン酸を選び、適切な量を注入することで、深いほうれい線から、おでこのしわまで、さまざまなしわに対応可能です。(2)

また、フェイスラインのもたつきにもヒアルロン酸注入治療は使われます。(2)

【ヒアルロン酸注入の効果】治療手順と持続期間

ヒアルロン酸注入治療に関する疑問を持つ女性にアドバイスする医師

それでは、ヒアルロン酸注入治療の具体的な治療手順と持続期間を紹介します。

ヒアルロン酸注入の手順

ヒアルロン酸注入治療の前には、医師によるカウンセリングが行われます。その後、必要に応じて麻酔クリームを塗布。麻酔が効いてきたら細い針でヒアルロン酸を少しずつ皮膚に注入します。

施術時間は部位などによって異なりますが、1ヵ所につき5~10分前後が目安です。(2),(6)

2~3日は注入部分がふくらみ気味になる場合もありますが、約1週間で自然な仕上がりに落ち着きます。(2),(6)

効果と持続期間

注入されたヒアルロン酸は少しずつ体内に吸収されるため、効果は徐々に薄れてきます。効果持続期間は使用する製品や注入する部位によって変わってきますが、一般的には6ヵ月~24ヵ月程度です。(7)

ヒアルロン酸注入が使われる部位

次は、ヒアルロン酸注入が使われる部位の紹介です。ヒアルロン酸を注入する深さや注入量をコントロールすることで、より高い効果が期待できるとされています。

顔のボリュームアップ

文献(2)を参考に作成

加齢によりボリュームが減少したこめかみや頬は、へこみやくぼみが目立ちます。このような場合には、ヒアルロン酸を皮膚のより深いところに注入します。すると、肌全体がふっくらとボリュームアップし、“痩せ”や“コケ”にともなう老けた印象を改善する治療法です。(2)

ほうれい線や口元、額などの深いしわ・溝

文献(2)を参考に作成

ほうれい線やマリオネットラインなどのたるみじわ、額にできる深い表情じわにも、ヒアルロン酸注入は効果を発揮します。このようなしわに対しては、ヒアルロン酸を真皮と皮下組織の境目付近に注入します。そして、しわや溝を内側から押し上げ、目立ちにくくします。(2)

フェイスラインやあごの形成

フェイスラインやあごの形成にもヒアルロン酸注入が使われます。あごやフェイスラインの場合には、ヒアルロン酸を深い層に注入します。顔のバランスを整えるうえで重要となる、美しいEライン(エステティックライン)※2 やフェイスラインを手に入れることも可能です。(2)

※2 Eライン(エステティックライン):
顔を横から見たときに、鼻の先と顎を結んだ線。この線より少し内側に唇があることが理想のEラインといわれています。(2)

唇のボリュームアップ

文献(2)を参考に作成

セルフケアでは難しい唇のボリュームアップも、ヒアルロン酸注入で近づけることが可能です。唇の場合は、ヒアルロン酸を皮下組織内に注入します。ほどよく盛り上がり、女性らしい魅力的な唇に整えられるでしょう。(2)

ヒアルロン酸注入で起こり得る副作用

ヒアルロン酸は皮膚となじみのよい成分ですが、治療にあたり副作用が生じる可能性は否定できません。多くの副作用は数日で気にならなくなりますが、不安がある場合は事前カウンセリングの際にきちんと確認しておきましょう。

内出血

ヒアルロン酸注入治療では針を使用するため、多少の内出血をともなう場合があります。もっとも、内出血してもあとが残ることはありません。約2~3週間程度で自然に目立たなくなります。(6)

針を使用するため多少の内出血はあるものの、ダウンタイム※3 が少ないことも選択されやすい理由の一つといえます。※4

※3 施術後から回復までの期間のこと。施術前のように生活できるようになるまでの期間。
※4 監修医師の臨床経験に基づく

腫れ・赤み・かゆみ・痛み

ヒアルロン酸を注入した部位の血行がよくなると、腫れや赤み、かゆみが生じることがあります。治療後少なくとも24時間は、飲酒、激しい運動、長時間の日光浴、サウナなど高温の場所での滞在は控えてください。(6)

また、しばらくの間は必要以上に注入部位を触らないようにしましょう。顔のエステは最低1週間は行わないでください。歯の治療や顔をうつぶせてのマッサージなども、しばらく避けるべきです。(6),※4

なお、痛みや赤みが気になるときは、注入部位を冷やすと症状が少しやわらぎます。(6)

※4 監修医師の臨床経験に基づく

まとめ

ヒアルロン酸注入治療は、顔の“痩せ”や“コケ”、深いしわを目立ちにくくする治療方法です。適切な部位に適切な注入量・方法で注入すれば自然な仕上がりを目指すことが可能で、ダウンタイム※3 も比較的短く、施術を受けたその日から効果を実感する方も多くいらっしゃいます。

ヒアルロン酸注入治療を希望する場合は、まず美容医療クリニックなどを訪れ、医師に相談をしましょう。副作用やダウンタイムについても確認し、信頼のおける医師のもとで治療を受けることをおすすめします。※4

※3 施術後から回復までの期間のこと。施術前のように生活できるようになるまでの期間。
※4 監修医師の臨床経験に基づく

参考文献
(1) 吉岡 泰淳:美容皮膚医学 BEAUTY.2020.3(3);84-90
(2) 古山 登隆:解剖から学ぶヒアルロン酸注入療法:メディカルレビュー社.2020
(3) 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所:"「健康食品」の素材情報データベース・ヒアルロン酸"
(4) Longas MO, et al. : Carbohydr Res. 1987. 159: 127-136
(5) 岩城 佳津美:美容皮膚医学 BEAUTY.2020.3(1):14-21
(6) 大慈弥 裕之:ヒアルロン酸注入治療安全マニュアル.克誠堂出版.2018
(7) 田中 志保:モダンメディア.2021;67(10):421-426
※5 ジュビダーム ビスタ ボルベラXC 使用の場合 電子添文 ジュビダーム ビスタ ボルベラXC
※6 ジュビダーム ビスタ ボリューマXC 使用の場合 電子添文 ジュビダーム ビスタ ボリューマXC
※7 ジュビダーム ビスタ ボラックスXC 使用の場合 電子添文 ジュビダーム ビスタ ボラックスXC
※8 ジュビダーム ビスタ ウルトラXC 使用の場合 電子添文 ジュビダーム ビスタ ウルトラXC
※9 ジュビダーム ビスタ ウルトラ プラスXC 使用の場合 電子添文 ジュビダーム ビスタ ウルトラ プラスXC
※10 ジュビダーム ビスタ ボリフトXC 使用の場合 電子添文 ジュビダーム ビスタ ボリフトXC

JP-AGNA-240085

監修・取材協力

医療法⼈社団 喜美会 ⾃由が丘クリニック 理事⻑ 古⼭ 登隆 先⽣

医療法⼈社団 喜美会 自由が丘クリニック 理事長
古山 登隆 先生

医学博士。北里大学医学部卒業。同大学チーフレジデント、外科研究員、形成外科講師を経て、1995年自由が丘クリニックを開設。国立大学法人千葉大学 医学部形成外科 非常勤講師などを務める。日本形成外科学会認定形成外科専門医。ヒアルロン酸やボツリヌストキシン製剤の注入、糸リフト、レーザーなどを組み合わせた、メスを使わずにより美しくなるためのケアを主に行う。

医療法⼈社団 喜美会 ⾃由が丘クリニック

住所:東京都目黒区八雲3-12-10 パークヴィラ2F・3F・4F

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