20代のころと比べて、肌の衰えや悩みを感じやすくなる30代。「セルフケアだけではなかなか悩みが改善しない……」「美容医療は気になるけれど、実際どうなの?」と、悩まれている方も多いかもしれません。

そこで今回は、美容インフルエンサーの入江 史織 さんと、Urara Skin Clinicの福永 淑恵 先生のお二人と一緒に、美容医療への悩みや疑問に向き合ってみました。年齢とともに変化する肌の悩みや、信頼できるクリニックの見つけ方など、美容医療の「はじめの一歩」を踏みだす際のヒントをお届けします。

監修・取材協力:
福永 淑恵 先生(Urara Skin Clinic 院長)
入江 史織 さん(美容家・インフルエンサー)

「20代とは違う」30代のリアルな肌悩み

入江さんは30代になってから、「美容医療を意識するようになった」と話します。そこには、20代とは違うリアルな肌悩みがありました。

入江さん:30代になってからは、20代のころとは違う肌悩みをすごく感じます。目指したいのは「透明感のある肌」なのですが、くすみやすくなったり、夕方になると「顔が疲れているな」と感じたりすることが増えましたし、目の下のクマも気になります……。

美容家・インフルエンサー 入江 史織 さん

入江さん:あと、30代に入ってから肌質の変化を感じるようになり、本格的に美容医療に興味を持ち始めました。今は透明感のあるツヤっとした肌にあこがれて、以前から通っているサロンで、月イチでピーリングとフォトフェイシャル(光治療)を受けています。友人同士で「どんな治療を受けたか」といった美容医療の話をすることも多いのですが、やはり「何から始めたらよいのかわからない」というイメージが強いです。また、「痛そう」というイメージや「お値段的に続けられるのかな」という費用面の懸念もあります。

福永先生:入江さんのように、30代になって「美容医療を始めてみたいけれど、何から始めたらよいかわからない」とクリニックにいらっしゃる方はとても多いです。お悩みとしては、シミやくすみのほか、「なんとなくたるんできた気がする」といった、漠然とした変化を何とかしたいというご相談が多いですね。

Urara Skin Clinic 院長 福永 淑恵 先生

福永先生:30代で感じるお悩みのうち、「しわ」「たるみ」については、顔の構造的な変化にも関係があります。顔は表面から順に「皮膚」「皮下脂肪」「筋肉」「骨」といった層が重なってできていますが、年齢を重ねると、これらの組織がすべて、それぞれ異なる変化(老化)を起こします。(1)

※イメージ
文献(1)を参考に作成

福永先生:たとえば、皮膚は伸び、脂肪は顔の下のほうに移動。筋肉はこわばって固くなり、骨は小さくなっていくという具合です。こうした複数の層の変化が組み合わさって、表面に現れ始めたサインが「しわ」や「たるみ」といえます。(1),(2)

入江さん:顔の内側の変化も関係しているんですね。知りませんでした。

肌悩みには、まず「土台」を整えるべし

入江さん:肌の悩みといえば、最近、友人が「肌育治療」を受けたと話していました。それはどんな治療なんですか?

福永先生:肌育治療は、医療の力で肌質の改善やハリ※1 の向上を目指す治療法です。(3) 肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンは加齢で減少しますが、(2),(4) 肌育治療ではこれらを増やし、健康的な真皮の状態に整えることで、美肌効果が期待できます。

※1:弾力と同義

※イメージ
文献(4)を参考に作成

福永先生:また、真皮の状態をいかによくするかの選択肢としては、高周波(RF)やレーザーを用いたデバイス治療、肌育治療(ヒアルロン酸製材やECM)など、さまざまです。

※監修医師の臨床経験に基づく

文献(4)を参考に作成

入江さん:デバイス治療と注入治療、どちらを選ぶべきか迷ってしまいますね。注入治療は少しハードルが高いので、私はまずデバイス治療から始めようかなと思います。

福永先生:デバイス治療は、美容医療初心者の方にも受け入れられやすい傾向があります。ですが、肌の土台がしっかりしていない状態で強いデバイス治療を受けても、期待したほどの効果がでにくい場合があるんです。私はよく患者さんに「注入治療はプロテイン、デバイス治療は筋トレ」と説明しています。プロテイン(注入治療)で土台となる肌の栄養を補ってから、筋トレ(デバイス治療)をすると、より効果的ですよね。これはほかの医師がおっしゃっていたたとえなのですが、伝わりやすいので使わせてもらっています(笑)。

※監修医師の臨床経験に基づく

入江さん:その説明、すごくわかりやすいです!「土台づくり」と聞くと、注入治療を「やってみようかな」という気持ちが湧いてきました。

30代に必要なエイジングケアは?

続いて福永 先生には、加齢が進むことで起こっていく変化やそれをゆるやかにするために効果的な治療についても教えていただきました。

毎日少しずつ、顔の内側から忍び寄る変化

福永先生:先ほどお話しした、「骨が痩せる(萎縮する)ことによるボリュームロス」や、脂肪の下垂といった加齢による変化が進むと、顔全体のバランスが少しずつ変わってきます。(1) たとえば、入江さんが気にしている目の下のクマも、目のまわりの骨が痩せてくぼみ、その上の脂肪が落ちてくることが原因の一つといわれています。(1) 加齢による変化をざっとまとめるとこんな感じです。

※イメージ
文献(1)を参考に作成

入江さん:こうして比べてみるとわかりやすいですが、この変化は一気に起きるわけではなく、毎日少しずつ変わっていくわけですよね?それだと、変化していることに気付かない場合もありそうですね。

30代からは、顔の内側を補う治療法が向いている

福永先生:だからこそ、違和感を覚えたタイミングを大切にしてほしいと思っています。そのタイミングで美容医療を始めれば、エイジングの速度をゆるやかにすることも可能でしょう。(1) 30代の方であれば、私はまず、ヒアルロン酸注入治療など顔の内側の変化を補う治療をおすすめしています。

入江さん:つい表面的なケアに目がいってしまいますが、内側を意識することが大切なんですね。

福永先生:ヒアルロン酸などで顔の内側を補うと、顔のバランスが整う(1) ので満足される方も多いです。ただ、気になる部分だけに注入しすぎると、顔全体のバランスが崩れて不自然になることもあるので、治療の際は全体のバランスを見て行うとよいですよ。

※監修医師の臨床経験に基づく

「はじめの一歩」の不安を減らそう!クリニック選び五つのポイント

入江さん:今はたくさんの美容クリニックがあるので、クリニックを選ぶのも難しいですよね。私は、SNSで症例写真を確認しつつ、友人や信頼しているインフルエンサーの口コミを参考に、候補を絞り込んでいるところです。とくに友人には、カウンセリングで必要な治療以上のものをすすめられなかったかという点も確認しています。

福永先生:美容医療は、基本的に1回受けて終わりではなく、定期的に通い、治療を続けていくものです。ですから、一番大切なのは「相性のよい医師を見つけること」だと思います。入江さんのように事前調査でいくつか候補を絞り込んだら、実際にカウンセリングを受けてみるとよいでしょう。その際には以下のポイントを確認しておきましょう。

カウンセリングを受けるときのチェックポイント五つ

  1. 医師がきちんと診察してくれるか
  2. 自分の悩みに合った治療の選択肢を複数提示してくれるか
  3. (カウンセラー任せにせず)医師が治療方針を決めているか
  4. 治療のリスクや難易度について、きっちり説明してくれるか
  5. 自分が納得したうえで治療を受けられるか(その場で契約を迫られないかなど)

入江さん:治療方針に納得できても、予算が合わない場合はどうしたらよいですか?

福永先生:当院では「無理のない範囲で」とお伝えしています。まずは症状に対して最善の治療プランをご提案し、そのなかからご予算の範囲内でできることを一緒に考えていく、というスタンスです。

入江さん:それでいいんですね!ちなみに私は「痛み」も不安要素の一つなのですが……。

福永先生:痛みについては各クリニックで麻酔クリームや、振動を与えて痛みを逃す器具など、痛み対策をいろいろと準備しているはずです。それ以外にも心配なことは、ぜひ遠慮なくカウンセリング時にお話ししてください。

一歩踏みだして、美容医療との付き合いを始めてみよう

入江さん:これまでは少し構えていた部分がありましたが、今日お話を聞いて、美容医療への印象が変わりました。この先40代、50代と年齢を重ねれば、またさまざまな悩みがでてくると思います。美容医療には、そんな自分を肯定し、自信を持てるようになる効果もあるのかなと感じました。

福永先生:入江さんがおっしゃったように、美容医療は誰のためでもなく、鏡や写真に映る自分を見て少しでもテンションを上げる「自分のためのもの」だと思っています。あまり構えすぎずに、スキンケアの延長線上にある選択肢の一つとして、取り入れていただけるとよいかなと思います。

美容医療は、あなたの悩みに寄り添い、魅力を引きだすための一つの選択肢になるものです。この記事を参考に、焦らず正しい情報を得て、まずは専門家への「相談」というかたちで、美容医療の「はじめの一歩」を踏みだしてみませんか。

参考文献
(1) 古山 登隆: 解剖から学ぶヒアルロン酸注入療法: メディカルレビュー社. 2020
(2) 川田 暁: 美容皮膚科ガイドブック第2版: 中外医学社. 2019
(3) 谷 祐子: 美容皮膚医学BEAUTY. 7(6): 2-3.2024
(4) 梁川 厚子: 美容皮膚医学BEAUTY. 7(6): 76-82. 2024

監修・取材協力

Urara Skin Clinic 院長 福永 淑恵 先生

Urara Skin Clinic 院長
福永 淑恵 先生

2014年和歌山県立医科大学卒業。大阪公立大学医学部附属病院にて初期研修後、同院皮膚科に入局。その後、なにわ生野病院、Wクリニック心斎橋院などで臨床経験を積み、2024年に地元である天王寺に「Urara Skin Clinic」を開院。プライベートでは二人の子どもを育てるママとして、仕事と子育てを両立。
医学博士/日本皮膚科学会認定専門医

Urara Skin Clinic

住所:大阪府大阪市天王寺区堀越町11番11号 天王寺ガーデンスクエア3F

美容家・インフルエンサー 入江 史織 さん

美容家・インフルエンサー
入江 史織 さん

IT系企業に勤務していた会社員時代から、美容やファッションコーディネートをSNSで発信するインフルエンサー活動をスタート。2024年に独立し、現在はSNSを通じて新作コスメレビューやメイクテクニックなどを提案するほか、アパレルブランドとのコラボも手掛け、人気を博している。

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