「ヒアルロン酸注射(ヒアルロン酸注入)はほうれい線に使える?」「ヒアルロン酸注射の料金やデメリットが知りたい」というように、ヒアルロン酸注射に興味を持っている方は少なくないようです。

ヒアルロン酸注射は、メスなどで切開することなく、たるみじわをはじめとするしわ治療が行えます。

しかし、治療によるデメリットや効果について不安があり、クリニックへ相談するのをためらっている方もいるでしょう。

そこで今回は、事前に知っておきたいヒアルロン酸注射の適用部位や費用感、リスクなどについて、城本クリニックの小川 英朗 先生にうかがいました。

監修・取材協力:小川 英朗 先生(城本クリニック 福岡院 院長)

ヒアルロン酸とは

ヒアルロン酸は、皮膚(肌)、腱、筋肉、軟骨、脳、血管など、もともと私たちの体内に広く存在する物質です。(3)

皮膚では、主に皮膚の深くにある真皮層に存在し、皮膚の弾力性や潤いを保つ成分として欠かせません。(6)

しかし、体内のヒアルロン酸は20代をピークに、加齢とともに減少していきます。ヒアルロン酸が減った肌は、十分な水分や弾力を保持できず、ハリ がなくなり、しわたるみが発生する原因の一つとなります。(7)

※弾力と同義

加齢による体内のヒアルロン酸量の変化を表したグラフ

ヒアルロン酸注射とは

ヒアルロン酸注射(ヒアルロン酸注入)とは

ヒアルロン酸注射(ヒアルロン酸注入)とは、関節の治療や目の治療をはじめ、肌や肌内部の組織の治療にも使われている施術です。

具体的には、しわの改善、加齢による顔のボリューム減少の改善、フェイスラインあごの形成などに役立ちます。(1)

最近では肌質を改善する 働きを持つヒアルロン酸も開発され、肌の乾燥、乾燥が原因の小じわを改善するために用いられることもあります。(8)

※保水性、弾力性等の皮膚状態の改善と小じわ等の表面のへこみ修正

ヒアルロン酸注射の概要

施術時間各部位5~10分程度(1か所あたり)
麻酔希望によりテープ麻酔やクリーム麻酔を使用(1)
(場合によってはブロック麻酔を併用)
ダウンタイム※1数日~1週間程度(1),(2)
起こりやすいリスク※2内出血、腫れ、むくみ、赤み、かゆみ、痛み、チンダル現象、※3 不自然な凹凸など(2)
傷跡ほとんど目立たない
持続性約6か月~2年程度(3),(4)
(注入部位や回数などによる)
メイク施術当日から可能だが、
感染予防のため3時間程度経過してから、
もしくは翌朝以降を推奨※4
入浴・洗顔施術当日から洗顔・洗髪・入浴が可能
顔のマッサージ・美顔器の使用なるべく控えたほうがよい
妊娠中・授乳中の施術安全性が確立されていないため、避けること

※1:ダウンタイム:施術後から回復までの期間のことで、施術前の生活を取り戻せるまでの期間
※2:注入直後~注入後4週間以内に起こりやすいリスク
※3:注入した皮下のヒアルロン酸が透けて皮膚が青みを帯びているように見えるもの
※4:監修医師の臨床経験に基づく

ヒアルロン酸注射に期待できる効果の例

ヒアルロン酸注射の効果が期待できる部位

ヒアルロン酸注射は、しわの改善や輪郭の調整など、さまざまなお悩みに効果を発揮します。

ほうれい線などのたるみじわの改善

加齢によって生じるほうれい線

※イメージ
文献(1)を参考に作成

ヒアルロン酸注射は、たるみじわの改善にも効果的です。たるみじわとは、加齢によって顔の骨が縮んだ結果、その上にある筋肉や皮下脂肪、皮膚が支えを失い、垂れ下がって生じるしわのことです。

たとえば、ほうれい線は、典型的なたるみじわの一つです。小鼻から上唇の横にかけて現れる「ハ」の字のしわがほうれい線で、主に加齢などで骨や皮下脂肪などの形が崩れることで生じます。(1)

ヒアルロン酸注射でほうれい線を改善するには、ほうれい線の溝を埋めるように注入する方法が代表的な方法として知られています。(1)

ほうれい線の治療例

※イメージ
文献(1)を参考に作成

また、こめかみ・頬・あごなど骨がボリュームダウンした部分へ注入して顔全体をリフトアップさせることで、ほうれい線を目立たなくする方法もあります。(1)

ほかには、頬の中央に注入してボリュームをだし、ほうれい線の溝を伸ばして目立たなくする方法もあります。(1)

目元の小じわ改善

小じわの主な原因は加齢や肌の乾燥です。とくに目のまわりの皮膚は顔のなかでもかなり薄いため、乾燥しやすく小じわができやすい傾向にあります。(3)

ヒアルロン酸注射のなかには肌の保水性を高める効果があるものもあるため、そのような製材を使えば乾燥が原因でできる目元の小じわの改善が期待できます。(8)

ボリューム不足による頬のコケ改善

ボリューム不足による 頬のコケ

骨・筋肉・皮下脂肪・真皮・表皮の変化はたるみだけでなく頬のコケの原因にもなります。(1)

ボリューム不足による頬のコケが気になる場合、頬骨の上にヒアルロン酸を注入すると、ボリューム感がでて頬をふっくらした印象に仕上げられます。(1)

唇のボリュームや形の調整

唇のボリューム 調整

※イメージ
文献(10)を参考に作成

ヒアルロン酸注射によって、唇のボリュームを調整することもできます。(1)

たとえば、唇のボリュームを調整することで上唇がM字に見える「M字リップ」は見聞きすることが多い唇の一つです。

輪郭の調整

輪郭が整うと小顔効果が期待できる

額やこめかみ、あごなどボリュームをだしたい部分にヒアルロン酸を注入することで、輪郭を整えられます。(1)

輪郭が整うと顔全体がすっきりして見え、小顔効果が期待できます。

乾燥肌の改善(肌質改善

乾燥肌とは、肌の水分量・皮脂量が不足している状態を指します。肌が乾燥しているとバリア機能が低下し、異物など外部刺激による肌トラブルが起こりやすくなります。(9)

ヒアルロン酸製材のなかには肌の保水性や弾力性を高め、肌質改善 が期待できるものもあります。このような製材を注入することで、乾燥肌の改善が見込めます。(8)

※保水性、弾力性等の皮膚状態の改善と小じわ等の表面のへこみ修正

ヒアルロン酸注射の効果はいつまで持つ?持続期間について

ヒアルロン酸注射治療の効果を実感する期間は、注入部位や回数などによりますが、約6か月~2年ほどです。(1),(3),(4),(5) その後は少しずつ効果を実感しにくくなるといわれています。

ヒアルロン酸はもともと体内にある物質です。注入されたヒアルロン酸が徐々に体内に吸収されていくため、時間の経過とともに効果を実感しにくくなるのです。

なお、体質や生活習慣によっては、ヒアルロン酸が通常よりも早く吸収されることがあります。また、ヒアルロン酸を溶解させる薬剤を注入すれば、すぐに溶かすこともできます。※4

※4:国内承認薬または機器が存在しない治療を含む可能性がありますが、それらを推奨するものではありません

ヒアルロン酸注射のメリット・デメリット

ヒアルロン酸注射(ヒアルロン酸注入)の主なメリットとデメリットをまとめてご紹介します

ヒアルロン酸注射のメリット(1),(4)

ヒアルロン酸注射のメリット
  • たるみじわをはじめとしたさまざまなしわに対応可能
  • エイジングによるボリュームロスや支えを補うことが可能
  • 施術時間は部位にもよるが、1か所につき5~10分前後と切開を伴う手術と比べ短時間で治療できる
  • 施術後のダウンタイムは数日~1週間程度
  • 施術後すぐから効果を感じやすい
  • 使用するヒアルロン酸注射の種類によっては肌質改善 も可能

※保水性、弾力性等の皮膚状態の改善と小じわ等の表面のへこみ修正

ヒアルロン酸注射のデメリット(1),(4)

  • 効果持続期間が永久ではない(製材や注入量に応じて約6か月~2年ほど)
  • 注入部位や注入量によっては思うような効果を得られないことも
  • ごく稀だが、血流障害や重篤な合併症などの副作用がある

ヒアルロン酸注射の注意点は?リスクや副作用について

ヒアルロン酸注射を行った場合、数日間はふくらみや赤み、内出血などが気になるかもしれません。また、ごく稀に重篤な副作用が起こることもあります。(2)

ヒアルロン酸注射の施術後から4週間は内出血、腫れ、むくみ、赤み、かゆみ、痛み、チンダル現象、※3 不自然な凹凸などの症状が起こることがあります。これらはよくある術後の症状なので、数日間(場合によっては1~2週間)時間の経過とともに改善が見られれば、普段通り過ごしてよいでしょう。

もしも腫れや赤みが日に日に悪化していたり、施術箇所に白いニキビができたりするといった兆候があれば、治療を受けたクリニックに連絡してください。

なお、稀に注入後、時間が経ってから、感染症やアレルギー症状、肉芽腫、血腫、感染、注入部位の着色または退色、神経圧迫、塞栓、膿疹形成、過敏症などが起きることがあります。また脳梗塞、失明、皮膚の循環障害や壊死などの重篤な有害事象が起きることがあります。(1),(2)

施術前に不安に感じることは医師とよく相談し、施術後に少しでも違和感があったら、早めにクリニックへ連絡しましょう。

施術後しばらくは、注入をした部位の状態を日々チェックしておくことも大切です。

※3:注入した皮下のヒアルロン酸が透けて皮膚が青みを帯びているように見えるもの

ヒアルロン酸注射を受けられない方

以下の方は、ヒアルロン酸注射を受けることができません。(2)

  • 妊娠中の方
  • 授乳期の方
  • 連鎖球菌性疾患の方
  • 免疫機能異常および免疫抑制剤投与中の方
  • 出血傾向のある方、抗血小板薬・抗凝固薬などを投与中の方
  • 注入部位に感染や皮膚炎がある方
  • リドカインアレルギー、心刺激伝導障害、重篤な肝障害、ポルフィリン症の方

詳しくは医師に相談しましょう。

ヒアルロン酸注射に関する気になる疑問を医師が解説

ヒアルロン酸注射に関して医師に相談している女性

ヒアルロン酸注射(ヒアルロン酸注入)に関する疑問について、小川先生に教えていただきました。

ヒアルロン酸注射の料金は?

ヒアルロン酸注射の料金は、1本(1cc)あたり7万~15万円が一般的です。クリニックによって差があります。

症例写真のNG例

クリニックによって自由に価格を設定できるため、同じ製材を使っていても、価格が異なります。したがって、一概に価格が高いからよい、安いから悪いと判断するのは難しいといえるでしょう。

また、価格はクリニック選びのポイントの一つになりますが、価格だけで選ぶことはせずに、症例を見たうえで、複数のクリニックでカウンセリングを受けるのが理想です。

そのうえで、納得できたクリニックにて治療を受けることをおすすめします。

施術の流れは?

ヒアルロン酸注射の場合、メイクを落とした状態でカウンセリングを行い、治療が可能と診断できたら施術を行います。

ヒアルロン酸注射を希望する場合、カウンセリングではメイクを落とす
  1. 針の痛みが心配な場合は任意で麻酔をする
  2. ヒアルロン酸を少しずつ注入する
  3. 仕上がりを確認し、処置完了

処置完了後は、問題がなければ帰宅していただけます。

なお、施術後すぐにメイクをすると、処置部位の注射器の針穴から菌やウイルスが入り、感染症を起こす可能性があります。当院では、少なくとも施術後3時間くらい経過してからメイクすることをおすすめしています。

場合によっては翌朝までメイクを避けたほうがよいケースもあるので、担当の医師に確認しましょう。

術後の経過は?

ヒアルロン酸注射の施術後、約1週間でヒアルロン酸が定着します。※5 それまでは施術部位をさわり過ぎないようにしておきましょう。

注入後はふくらみなどが気になり、施術部位をついさわってしまいがちですが、定着するまでにさわり過ぎると、せっかく注入したヒアルロン酸がずれてしまう可能性もあります。

※5:監修医師の臨床経験に基づく

治療効果はいつから実感できる?

ヒアルロン酸注射は施術後から効果を実感できることが多いでしょう。施術後、鏡を見た際に施術した部位の変化を実感できるはずです。

2~3日は注入部分がふくらみ気味になる場合もあり、「やり過ぎた?」と不安になるかもしれません。ですが、1週間ほどで徐々に自然な仕上がりに落ち着きます。

少し様子を見て、それでも仕上がりが気になる場合はあらためてクリニックに連絡してみましょう。

※監修医師の臨床経験に基づく

ヒアルロン酸注射は痛い?

ヒアルロン酸注射は、基本的に麻酔を使うため、痛みが苦手な方でも受けやすい施術といえます。

施術では非常に細い針を用いるので、痛みは少ないとされていますが、テープやクリームの麻酔、ブロック麻酔を併用することで痛みを軽減させることもできます。(1)

ヒアルロン酸注射による効果を長持ちさせるには?

効果を長持ちさせるために、注入箇所をさわり過ぎないように注意しましょう。

注入箇所を強く押したり、マッサージしたりするのもNGです。ヒアルロン酸が長持ちしないばかりか、最悪の場合、注入した部位からずれてしまうこともあります。

注入後しばらくは、気になってついさわりたくなったり、軽い痛みや腫れがあると心配になったりするかもしれませんが、できるだけ我慢しましょう。

※監修医師の臨床経験に基づく

不自然なふくらみを避けるにはどうするとよい?

事前に医師としっかり相談することが大切です。

また、カウンセリング時には、自分のなりたい顔を医師に伝え、イメージを共有しておくことで、ヒアルロン酸注射で不自然なふくらみができるのを避けやすくなるでしょう。

インターネットなどで調べると、ヒアルロン酸注入による合併症の発症や、ヒアルロン酸の注入し過ぎでふくらみが強い顔になったことを揶揄する「ヒアル顔」のような表現もあり、ヒアルロン酸注射を受けることに不安を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、適切なトレーニングを受け、さらに有害事象発生時にも速やかに対応できる医師が行えば、ヒアルロン酸注射は安全に行える施術といえます。

最も気になっている部位から少しずつ治療を始めてみるのも一つの手です。

ヒアルロン酸注射とボツリヌス注射、どちらを選ぶべき?

ヒアルロン酸注射は、目元の小じわやほうれい線の改善には有効なことが多いものの、しわの種類によってはボツリヌス注射(ボツリヌス治療)が適しているケースもあります。(9)

目元の小じわと眉間のしわ

たとえば、眉間のしわ目尻のしわなどは筋肉の収縮によって生じるので、筋肉の緊張を緩める作用のあるボツリヌス注射が向いているとされます。(9)

また、ボツリヌス注射とヒアルロン酸注射を併用するコンビネーション治療※6 によって、よりお悩みを解決できる場合もあるため、カウンセリングの際、医師に判断してもらうとよいでしょう。(1)

※6:併用治療の有効性・安全性、またどれくらい期間を空けるかなどは検証されておりません

参考文献
(1) 古山 登隆: 解剖から学ぶ ヒアルロン酸注入療法. メディカルレビュー社. 2020
(2) 大慈弥 裕之: ヒアルロン酸注入治療安全マニュアル. 克誠堂出版. 2018
(3) 古山 登隆,海野 由利子,砂川 恵子,青木 和香恵: 目もとの上手なエイジング―眼瞼下垂から非手術的美容医療,エイジング世代のメイクアップまで―. 全日本病院出版会, 2021
(4) 田中 志保: モダンメディア. 2021; 67(10): 421-426
(5) 美容皮膚医学BEAUTY Vol.6 No.1. 医学出版, 2023
(6) 吉田 浩之: 化学と生物. 2017; 55(2); 119-127
(7) 本村 亜矢子 他: 日本水産学会. 2009; 75(1); 86-88
(8) 今泉 明子: 美容皮膚医学BEAUTY. 2024. 7(6): 71-75
(9) 川田 暁: 美容皮膚科ガイドブック第3版. 中学医学社 2023
(10) 古山 登隆: 美容皮膚医学BEAUTY. 2021. 4(11): 6-18

JP-AGNA-230413

監修・取材協力

城本クリニック 福岡院 小川 英朗 先生

城本クリニック 福岡院 院長
小川 英朗 先生

2008年、九州大学医学部医学科卒業。佐田厚生会佐田病院、九州大学病院にて研修、九州大学病院脳神経外科、九州医療センター脳神経外科に勤務。2012年大手美容外科を経て、2014年城本クリニックに入職。2019年2月より現職。脳外科で身につけた頭蓋頭頸部の広い解剖学知識を礎に日々研鑽を積み、受けた人全員が幸福になる美容医療を目指している。

日本美容外科学会専門医、ボトックス施注資格・ジュビダームビスタ®ハイラクロス施注資格・ジュビダームビスタ®バイクロス施注資格取得。

城本クリニック 福岡院

住所:福岡県福岡市中央区天神2-4-29 フェス天神2F

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