お腹やお尻、太ももといった広範囲の脂肪にアプローチできる治療として人気を集めている高周波(ラジオ波)による部分やせ治療。その名前のとおり、高周波を照射することで脂肪組織だけを分解する治療ですが、どういった仕組みで部分やせが叶うのでしょうか。メスや針、麻酔を使わず、高周波で、脂肪細胞だけにアプローチできる仕組みをはじめ、治療に伴うリスクやトラブルを避けるための対策を解説します。

高周波とは?

高周波とは、周波数が高い電流のことを意味します。美容医療では、「ラジオ波」や「RF」といった名称で呼ばれることも多くあります。

高周波は顔のたるみ改善や肌の若返りの治療にも用いられていますが、部分やせを目的とした治療と、たるみ改善を目的とした治療とでは、同じ高周波でも周波数が異なっています。

高周波による部分やせ治療の仕組み

脂肪細胞は、一定時間加熱すると、アポトーシスと呼ばれる自然死を起こすとされています。このメカニズムを活用したのが、高周波による部分やせ治療です。

治療では、高周波を照射し、皮下脂肪を高温で加熱することで、皮下脂肪を分解し、徐々に減らしていきます。高周波による治療の魅力は、周辺組織を傷つけることなく、脂肪細胞だけを狙って加熱・分解できることです。

脂肪組織とその他の組織とでは電気抵抗の差があるため、この差を利用し、脂肪だけを加熱できる周波数で照射することで、周辺の皮膚や筋肉などを傷つけることなく治療が可能となります。

分解された脂肪組織は、照射後、尿や汗とともに自然に排出されていきます。

高周波による部分やせ治療のメリットとデメリット

メリット

高周波による部分やせ治療は、メスや注射、麻酔などを使いません。施術中は横になっているだけでほぼ無痛で治療を受けることができ、施術後のダウンタイムも基本的にはありません。治療中や治療後のストレスが少ないことが特徴です。

また、広範囲の脂肪にアプローチできるのも魅力のひとつ。お腹や太もも、お尻など、範囲の広い部位の部分やせに適しています。脂肪細胞そのものを分解・減少させるのでリバウンドも抑えることができます。

デメリット

高周波による部分やせ治療は、脂肪のつき方や部位、用いる機器によって、効果を実感するまで複数回の治療が必要となる場合もあります。

その他、照射時に熱さを感じたり、まれに熱傷が起きたりする場合があることも、心にとめておきたいポイントです。

セルフエステでの高周波機器によるトラブル 

国民生活センターの情報によると、自分で施術をするいわゆる「セルフエステ」で、高周波や超音波が出る機器をあて、熱傷を負ったというトラブルの報告があります。

機器の仕組みや使い方、人体への影響などを十分に理解しないままに操作すると、思わぬ事故につながる恐れがあります。どうしてもセルフエステを利用したい場合は、事業者から機器の仕組みや使い方だけでなく、リスクや傷害を負った場合の対応などについても十分な説明を求めるようにしましょう。また、リスクなどを十分に理解した上で契約するか慎重に検討し、一人で安全に機器の操作ができるか不安な場合は契約をしないようにしましょう。

まとめ

横になっているだけで広範囲の脂肪にアプローチできる高周波による部分やせ治療。メスや注射針などを使わないため、手軽な治療に思われがちですが、セルフエステでのトラブルも発生しています。

治療を受ける際は、医療機関で受け、必ずリスクや傷害を負った場合の対応を聞いておくようにしましょう。また、高周波による治療以外に、脂肪冷却治療や脂肪溶解注射といった部分やせ治療の選択肢もあります。治療を検討する際は、痩せたい部位や自分の悩みを医師にしっかり相談し、納得のいく方法で治療を受けることが大切です。

監修

KUMIKO CLINIC 院長 下島 久美子 先生

KUMIKO CLINIC 院長 下島 久美子 先生

金沢医科大学卒業。杏林大学第一内科入局、内科医として大学病院、一般病院にて臨床経験を積んだ後、都内某美容クリニックに入職し、レーザー治療、注入療法の美容医療全般を学び美容皮膚科医としての臨床経験を積む。2014年、日比谷・有楽町に自身のクリニックを開院し、現在に至る。日本内科学会認定医、サーマクール認定医、アラガン社ボトックス・ヒアルロン酸注入指導医。患者様に提供する美容医療は、自分自身で体験し評価する。メスを使わない痩身治療とメスを使わない自然で美しい若返りを叶える注入治療の2つの治療を得意とする。

KUMIKO CLINIC

住所:〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-6-10 スクワール日比谷ビル8(受付)・9F

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