あごの下のお肉がもたつき、二重あごになっているのが気になった経験はありませんか?
二重あごの原因には、体重の増加だけでなく、姿勢の悪さやあごの小ささが関係している場合があります。
二重あごになる意外な原因と、正しい対策を医師に解説していただきました。
監修・取材協力:黒田 淳子 先生
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あごの下のお肉がもたつき、二重あごになっているのが気になった経験はありませんか?
二重あごの原因には、体重の増加だけでなく、姿勢の悪さやあごの小ささが関係している場合があります。
二重あごになる意外な原因と、正しい対策を医師に解説していただきました。
監修・取材協力:黒田 淳子 先生
目次
二重あごの主な原因としては、肥満による体重の増加や皮膚のたるみ、あごの大きさ、姿勢の悪さ、口呼吸などが挙げられます。
なかには複数の要素が絡み合って、二重あごが生じている可能性もあるので、まずは自分が二重あごになる原因について知っていきましょう。
二重あごの原因と聞いて、最初に思い浮かぶのが肥満かもしれません。
肥満とは、体に脂肪が必要以上についてしまった状態のことをいいます。
体につく脂肪は、大きく二つに分けられます。
皮膚のすぐ下につく「皮下脂肪」と、腸などの内臓の周囲につく「内臓脂肪」です。
このうち、皮下脂肪があごの下に多くついてしまうと、二重あごの原因になります。
二重あごの原因には、皮膚のたるみも挙げられます。
皮膚のたるみは、「顔の骨が縮む」こと、もしくは「皮下脂肪の減少や移動」によって生じるとされており、どちらも基本的には加齢が影響しています。
年齢を重ねると、徐々に骨密度が低下し、顔の骨が縮んでいきます。
すると、その上にある筋肉、皮下脂肪、皮膚を支えきれなくなり、たるみが生じます。
また、顔の骨が縮むことにより、あごの位置も後退します。
たるみ+あごの位置の後退により、二重あごができやすくなります。
骨の萎縮がなくても、重力などの影響によって皮下脂肪が元々の位置よりも下がってしまう(下垂する)こともあります。
こめかみ、頬などの皮下脂肪は下に移動し、フェイスラインの周辺にたまっていきます。
あごの下にたまると、二重あごの原因になります。
顔には、表情に関係する「表情筋」という筋肉が存在しています。
皮膚の直下ある薄い筋を動かし、感情を顔面にあらわしています。
表情筋が衰えると、皮下脂肪や皮膚を支えられず、たるみにつながってしまうことがあります。
主な原因は加齢ですが、マスク生活で表情をつくる機会が減ることも、表情筋の衰えを招く一因になり得ます。
二重あごの原因には「元々のあごの小ささ」が挙げられる場合もあります。
若くて特にたるみもなく、太っているわけでもないのに二重あごが気になるという場合、あごの小ささが影響していることが多いでしょう。
首からあごの先端までの距離が短いため、うつむいたときに二重あごになりやすいのです。
二重あごの原因には、姿勢も関係しています。
少し意外な原因かもしれませんが、姿勢はあごの運動や頭蓋骨を支える筋肉に大きな影響を与えます。
例えば、うつむき加減でスマホばかり見ている人は注意が必要です。
うつむくと、あご下の皮下脂肪が押し出されるようなかたちになって、二重あごがつくられます。
その姿勢を続けると、二重あごの状態がクセになってしまい、うつむいていなくても二重あごができてしまうこともあります。
口呼吸は、顔面の発達や下あごの発達を妨げる要因の一つです。
口呼吸になると、下あごの骨の角度が通常より大きくなりやすく、首からあごの先端までの距離が短くなりがちです。
すると、あごが小さい人と同じような状態になり、二重あごになりやすくなってしまうのです。
二重あごの解消・改善法はインターネットをはじめとした、さまざまなメディアで取り上げられ、多くの方法が紹介されています。
しかし、どの対策がどれくらい効果的なのかは定かではありません。
そこで、よく見かける二重あご対策について、黒田先生に伺いました。
二重あご解消の方法として、マッサージの有効性は「△」です。
適度なマッサージは、血行を促進させるとともにむくみの解消にもなります。
耳の前、あごの下、首筋、鎖骨などのリンパ節のある部位を軽くほぐすようにマッサージすると、顔全体がすっきりするでしょう。
しかし、二重あごにはむくみがそれほど関係していないため、マッサージだけで二重あごを解消するというのは、難しいかもしれません。
むしろ、マッサージをするときに力を入れすぎたり、長時間おこなったりすると、皮膚を支える靭帯がゆるむことによって、しわや将来的なたるみにつながることがあります。
マッサージのやりすぎにならないよう、くれぐれも注意しましょう。
二重あごの解消方法として、エクササイズやトレーニング、ストレッチなどの有効性は「〇」です。
全身のエクササイズやストレッチ、トレーニングは筋力の維持や強化につながり、正しい姿勢を保つ効果が期待できます。二重あごの改善、予防、悪化の防止、どれにも有効でしょう。
エクササイズのなかでも、表情筋エクササイズによる二重あごの解消効果は、残念ながらほとんど期待できません。
やりすぎると、しわをつくる原因になってしまったり、鍛えるべきではない筋肉まで鍛えられたりしてしまう可能性があります。表情筋のトレーニングは、日常的な会話や食事で動かす程度で十分です。
顔用の美容機器・美容グッズの活用についても同様です。軽いリフレッシュになる程度の使用時間や頻度にとどめることをおすすめします
二重あごの解消方法として、スキンケアの有効性は「△」です。
スキンケアの魅力は、リラックス効果です。
精神的に落ち着いた状態になることで自律神経の働きが整い、自律神経の乱れによる肌荒れやむくみ解消の効果も得やすくなります。
しかし、スキンケアだけで二重あごの原因すべてにアプローチできる訳ではありません。
スキンケアで対処できるのは肌表面までで、肌よりも奥…骨や皮下脂肪の変化まで対処することはできません。
二重あごを目立たなくさせる方法として、メイクやヘアスタイルの工夫による有効性は「○」です。
顔の輪郭や、あご下にシェーディング(少し暗い色のファンデーションやパウダーを部分的に塗ることで、立体感を出すメイク方法)をすると、気になる二重あごをすっきりと見せる効果が期待できます。
ハイライト(光を反射するアイテムを肌の要所に置き、明るく見せることで奥行きを出すメイク方法)と併用してメリハリをつくると、さらに効果的です。
美容医療を二重あご解消に取り入れる最大のメリットは、医師とのカウンセリングによって、自分の二重あごの原因がわかることにあります。
原因を見極められるため、正しい治療法が選択でき、悩みの解決につながります。
セルフケアだけでも二重あごの解消には一定の効果が期待できますが、あごが小さいなどの骨格が原因で二重あごになっている場合、セルフケアだけで改善するのは難しいものです。
さらに、セルフケアのなかには即効性が期待できないものも少なくありません。
少しでも早く目に見える効果が欲しい場合は、美容医療で治療することを選択肢に入れてみるのもよいでしょう。
二重あご解消が期待できる治療法をまとめました。
※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません
ヒアルロン酸注入治療は加齢などで縮んだ骨や皮下脂肪を補う治療の代表的な治療法です。
皮膚のたるみや、あごが小さいことで生じる二重あごの改善に、根本からアプローチできます。
高密度焦点式超音波治療(HIFU)は、超音波を照射し、熱エネルギーの刺激による皮膚の引き締めやコラーゲンやエラスチン産生の活性化を狙う施術で、たるみやリフトアップ効果が期待できます。
ダウンタイムがほとんどない治療なので定期的に受けやすいのもメリットです。
糸による治療(糸リフト)は、皮下に棘のついた糸を挿入し、コラーゲン生成を促進させることで皮膚のハリを高める治療法です。
骨や皮下脂肪のボリュームダウンに伴い、余ってたるんでしまった皮膚や下垂した皮下脂肪を持ち上げ、二重あごを改善する効果が期待できます。
脂肪吸引は、あご下の皮下脂肪のボリュームがかなり多い場合に適応となります。
脂肪吸引の適応とはならないような狭い範囲、あるいは少しだけボリュームを減らしたい場合には脂肪溶解注射が有効です。
また、「あご下の皮下脂肪を減らして二重あごを改善したいけれど、手術後のダウンタイムが取れない」という場合は、脂肪冷却治療を使うのもよいでしょう。
ただし、脂肪吸引ほどの効果は得られにくいので、医師に相談したうえで施術を選択することが大切です。
高周波・ラジオ波は、熱による刺激でコラーゲン生成を活性化し、皮膚のハリを改善します。
皮膚表面のハリのなさが原因であご下の皮膚がもたついてしまっている場合には、引き締め効果が期待できます。
日頃の生活習慣のなかには、気をつけて生活すると二重あごの解消につながるものもあります。
どんな点に注意するとよいのか、ポイントをご紹介しましょう。
二重あごの原因の一つに「姿勢」が挙げられているように、姿勢とあごの位置には、大きな関係があることがわかっています。
正しい姿勢を取ることで首や頭、肩甲骨が正しい位置にキープされ、あごの位置も整っていきます。
その結果、首からあごの先端までの距離が正しく維持されて、二重あごの解消につながりやすくなります。
正しい姿勢のポイントは、立った状態で耳、肩、股関節の中央、くるぶしを結ぶ線がほぼ一直線になることです。
視線を前へ向け、かつ肩の力は抜いて左右の高さをそろえて胸を少し張り、下腹部を引き締める意識を持ちます。
そして、頭のてっぺんを上から糸でつられているようなイメージを持ち、背筋を伸ばします。
これが、理想的な姿勢だといわれています。
近年ではスマホの使用で長時間うつむいた姿勢を取ることによる、スマホ首(ストレートネック)や、パソコン作業などの長時間のデスクワークによる姿勢の乱れも問題になっています。
気が付いたときに、正しい姿勢を意識していきましょう。
「食生活の改善」といっても、それほど特別なことをする必要はありません。
なるべく多くの種類の食品を取り入れたバランスのよい食事をすると、肥満の予防につながり、肥満による二重あごを防げます。
なお、口周りの筋肉は、口呼吸によって弱っていくといわれています。
口ではなく鼻で呼吸することを、食生活と併せて意識していくとよいでしょう。
二重あごでよくある疑問を黒田先生に教えていただきました!
太っていないのに二重あごになるのは、元々の骨格が原因です。
特にあごが小さい(首からあごの先端までの距離が短い)ため、体型や年齢に関係なく、あご下の皮下脂肪や皮膚がもたつきやすく、ちょっとうつむいただけでも二重あごが目立ってしまいます。
あごの小ささが原因で二重あごになっている場合は、ヒアルロン酸注入治療などであごを形成すると改善するケースが多いです。
二重あごを即効で解消させる方法は残念ながらありません。
美容機器などを使った直後に二重あごの改善が見られる場合もありますが、一時的な効果にすぎないことがほとんどです。
表情筋の衰えや表情グセが、二重あごの原因になることはないでしょう。
表情筋は二重あごと関係がないため、残念ながら表情筋をいくら鍛えても二重あご解消は期待できません。
最近では「マスクたるみ」という言葉をはじめとするマスクをしているうちにフェイスラインがたるんだという声が聞こえていますが、表情が乏しくなったことで口角が下がったり口元がたるんだりしているように見えるだけで、表情筋の衰えによって顔のたるみが助長されることはあまりないでしょう。
表情筋は、特別なエクササイズをしなくても、日常的に話したり、笑ったり、食べたり飲んだりすることで鍛えられていきますので、顔のマッサージやエクササイズをしなくても、毎日の生活でほんの少し意識するだけで十分です。
二重あごをエステで根本的に解消するのは、残念ながら難しいでしょう。
エステでは「二重あごの治療」を行うことはできません。
治療ができるのは美容医療などの医療機関だけです。
なお、エステで施術を受ける場合、心身のリラックス効果が期待できますので、美容医療とエステを目的によって使い分けるといいでしょう。
参考文献
Carini F, Mazzola M, Fici C, Palmeri S, Messina M, Damiani P, Tomasello G. Posture and posturology, anatomical and physiological profiles: overview and current state of art. Acta Biomed. 2017 Apr 28;88(1):11-16.
兵庫医科大学卒業。大阪大学脳神経外科へ入局。大阪大学大学院医学系専攻科を卒業し、博士号を取得。
JCHO大阪病院 (旧大阪厚生年金病院) 、国立病院機構大阪医療センター、兵庫医科大学病院など多くの主要病院にて主に血管障害・頭部外傷・顔面外傷の手術を担当。
2017 年にクローバー美容クリニックへ入職し、翌年2018年より2024年10月まで院長を務める。
不自然な若返りではなく、患者の美しさを引き出し、人生のプラスになるような治療を、技術と愛情を持って提供することを心がけている。