顔の印象は、各パーツのトータルバランスで決まります。実は「顔の美醜を決定づける形態学的特徴は主として下顔面に表れやすい」という報告もあり、口元は美しさの印象を左右する重要なパーツといわれています。唇の美しさを保つポイントを、TANAKA SKIN CLINIC 院長の田中 陽奈 先生に伺いました。
監修・取材協力:田中 陽奈 先生(TANAKA SKIN CLINIC 院長)
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顔の印象は、各パーツのトータルバランスで決まります。実は「顔の美醜を決定づける形態学的特徴は主として下顔面に表れやすい」という報告もあり、口元は美しさの印象を左右する重要なパーツといわれています。唇の美しさを保つポイントを、TANAKA SKIN CLINIC 院長の田中 陽奈 先生に伺いました。
監修・取材協力:田中 陽奈 先生(TANAKA SKIN CLINIC 院長)
「美しい唇」は、唇自体の美しさとともに、顔を構成するパーツの一つとしての美しさも考慮する必要があります。
具体的な条件を田中 先生に伺いました。
まず、唇の理想的な位置について解説しましょう。
顔には「黄金比」とよばれる理想のバランスがあります。顔の横幅が眉間の幅を基準に5等分、そして髪の生え際からあご先までの長さが3等分であることです。このバランスにおさまっていると、誰が見ても「美しい顔」と感じます。(2)
唇があるのは、鼻の下からあご先の部分。なかでも、その中心に位置するのが理想的といわれています。
さらに、左右の眉尻とあご先を結んだセントラルトライアングル(顔の中央の逆三角形)に、唇全体がおさまるのがベストです。(2)
次に重要になるのが、唇の大きさです。
顔全体において唇の面積が占める割合は、平均3.08±0.54%といわれています。(2) 数字だとわかりにくいかもしれませんが、「目よりも一回りくらい大きい程度の大きさ」と考えていただけるとわかりやすいでしょう。
また、上下のバランスも大切です。一般的には上唇と下唇を比較したとき、厚みが1:1.618、つまり下唇の厚さが上唇の約2倍ほどだと理想的なバランスといわれています。(2) しかし日本人を含むアジア人だと、この条件に当てはらないこともあります。アジア人の場合は欧米人に比べて唇が薄めのことが多く、上下の唇の厚みが約半々、1:1のほうが美しい場合もあります。(3)
形も美しい唇の条件の一つです。唇の形で重要なのが、上唇中央のキューピッド・ボウ(Cupid’s bow)とよばれるライン。(1),(2) このラインがはっきりしていると若々しい印象に感じます。(1)
正面からだけでなく、横から見たときの唇の美しさも重要です。
横顔の美しさの基準に「Eライン」があります。(1) 顔を横から見たとき、鼻先とあごを結んだラインのことを指します。
Eライン上には鼻先、唇、あごがあり、横から見たときに下唇だけがラインに触れるのが美しい横顔だといわれています。上唇が下唇に比べて1~2mm前方に出ていると、さらに望ましい形といえます。(1)
リップの縦じわはエイジングサインの一つ。加齢や乾燥、紫外線によるダメージなどの影響で生じ、年齢を重ねるにつれ、増えていきます。(1)
縦じわがあると疲れて見えたり、不健康に見られたりと見た目に影響があります。また、縦じわが多い唇は口紅を塗った際に色がにじみやすく、輪郭がぼけたような印象も与えます。
くすみがなく血色がよいことも、唇の美しさのポイントです。
唇の赤い色は、赤血球の一部であるヘモグロビンによるものです。ヘモグロビンとメラニンの量によって唇の色は変化します。(2)
加齢により唇の赤みは徐々に色褪せ、くすんでいきます。(1)
顔が左右対称であることは、若々しく美しい印象を与えます。
唇の周辺にはたくさんの表情筋が存在しているほか、骨格や歯の影響なども受けやすく、生まれつき左右がアンバランスになっているケースもあります。(4)
また、左右差は加齢の影響でも生じやすく、口角が非対称になると顔全体が老けた印象に見えてしまうことを知っていただきたいです。(4)
日々のセルフケアがもちろん重要ですが、美容医療を取り入れると、より美しい唇を手に入れやすくなります。
唇を整えるときには以下のような治療が挙げられます。
※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません
上記のなかでもヒアルロン酸注入治療について、田中 先生に詳しく教えていただきました。
私たちの体内に広く存在するヒアルロン酸を体組織に注入する治療です。
硬さや材質の違う種類のヒアルロン酸製材がさまざまあり、使用する部位やお悩みに合わせて、適した製材を使い分けています。
唇の場合はボリュームアップや形を整えることが可能です。(3),(4)
また、仕上がりを患者さんと一緒に確認しながら治療できるメリットもあります。田中 先生によると、少量のヒアルロン酸注入でも変化を感じやすいとのこと。ただ、治療後数日は腫れやすいので、事前に説明・口唇の状態を確認していただきながら治療する必要があるそうです。(7)
唇の荒れだと思ったら疾患(病気)だった…注入前に診断してもらうことも大切
田中 先生いわく「乾燥による肌荒れや皮むけだとおっしゃる状態の唇を確認すると、実は疾患による影響だったというケースもあります。その場合、まずは疾患の治療をしてからヒアルロン酸注入治療を行っています」とのこと。長引く唇の荒れがある場合は一度、皮膚科の専門医に診てもらいましょう。
初めて美容医療を受ける時は、不安もあるでしょう。美容クリニックを選ぶ際は、患者さんの不安な気持ちに寄り添い、納得いくまで説明をしてくれるか、また患者さんが遠慮せずに話し合えるかもポイントです。
「私の場合、ヒアルロン酸注入治療が必要な患者さんには、まず加齢のメカニズムのお話をしています。気になる悩みだけを対処するのではなく、加齢による変化に基づいて顔全体のバランスを考慮しながら、治療を行うことが大切だと考えているためです。治療方針や仕上がりを実際に体感いただき、ご納得いただけたら、次の治療を検討いただくようにしています。」(田中 先生)
治療は、患者さんと医師が二人三脚で行うもの。田中 先生のお話をヒントに、信頼できる美容クリニックを見つけてください。
参考文献
(1) 大慈弥 裕之,:美容皮膚医学BEAUTY.2021.4(11):19-24
(2) 古山 登隆:美容皮膚医学BEAUTY.2021.4(11):6-18
(3) 加藤 聖子:美容皮膚医学BEAUTY.2021.4(11):50-57
(4) 古山 登隆:解剖から学ぶヒアルロン酸注入療法:メディカルレビュー社.2020
(5) 當山 拓也:美容皮膚医学BEAUTY.2021.4(11):69-75
(6) 中北 信昭:美容皮膚医学BEAUTY.2021.4(11):76-83
(7) 大慈弥 裕之:ヒアルロン酸注入治療安全マニュアル:克誠堂出版.2018
公立札幌医科大学卒業(2011年)。一宮市立市民病院、安城更生病院、南生協病院、小牧市民病院、ごとう皮フ科クリニック、広島皮膚科、マリポサビューティクリニック、名古屋市内、大阪市内美容クリニックなどの勤務を経て、2024年7月にTANAKA SKIN CLINICを開院。院長に就任。皮膚科専門医として安心、信頼できる医療を届けるとともに、患者さんとの対話を通じて日々の潤いや癒しになる空間の提供を目指す。日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医。
TANAKA SKIN CLINIC
住所:愛知県名古屋市瑞穂区上山町三丁目14番地1