自分の顔を鏡で見るときに目にするのは正面の顔ですが、実は他人から見られることが多いのは「横顔」であることをご存じでしたか?

正面からだけではなく横から見たときも美しく見える「横顔美人」。
その美しさのポイントはお顔の「Eライン」にあります。今回は「横顔美人とEライン」について、麻布ビューティクリニック 院長 加藤聖子先生に伺いました。

Eラインとは、鼻先と唇とあご先をつないだライン

――横顔美人のポイントであるEラインとは?

Eラインとは、鼻先と唇とあご先をつないだラインのことを意味します。このラインが一直線、もしくは、唇が少し内側に入るバランスであることが、美しい横顔の条件であるとされています。

自分の顔を見るときは、表情を作った正面のキメ顔しかみていないですよね。でも他人は横や斜めから顔を見ることのほうが多いので、横顔はとても重要です。

私は、横顔はその人の品性をあらわすと考えています。横顔や特に口周りのバランスが整っていると、上品な印象を受ける傾向にあります。しかし、横顔は表情や化粧ではごまかすことが難しく、変えようと思ったら、形そのものを変えるしかありません。つまり美容医療の介入が必要になります。

――日本人のEラインへの意識はどのようなものですか?

お顔のバランスを整える上でEラインはとても重要な場所なのですが、日本人は特に、「あご」に対して意識があまり向いていません。なんとなくバランスが悪いなと思っていても、その原因が「あご」であることに気づいていない方が多いと思います。

――年齢を重ねるとEラインは崩れてくるのでしょうか?

はい。年齢と重ねるとともに、骨量が少なくなり、あごも小さくなっていきます。女性も男性もあごが小さくなると頬の肉が下がり、顔型が四角くなってきます。また加齢に伴い前歯が外側に傾斜し、口元が突出してくる場合もあります。そうするとEラインが崩れてきます。

Eラインを整えると、より美しく若々しい顔が手に入る!

――Eラインと整えると、どんなメリットがありますか?

あごが小さいと顔と首の境界線が曖昧になるのとで、顔と首がつながってみえてしまい、顔が大きく見えてしまいます。また、あごが小さい人はたるみが目立ちやすいという傾向もあります。脂肪の行き場が少ないのでより下がりやすく、二重あごになりやすくなりますね。

ですので、Eラインを整えることで、横顔が美しくなる、品性や知性を醸しだせるといったメリットがあるだけでなく、小顔にも見え、たるみも目立ちにくくなるので、若々しい印象の顔にもなれます。たるみのお悩みで相談に来た方にあごの話をすると驚かれるのですが、フェイスラインのたるみを改善する上でも、あごはとても重要です。

Eラインを美しくする方法。メスを使わずに理想の横顔に?

――Eラインを整えるには、どのような方法がありますか?

Eラインを整えることができるのは、美容医療だけです。Eラインにおいて重要なあごを整える方法は主に二つあります。

①外科手術を行い、あごにシリコンプロテーゼを挿入する方法。
②ヒアルロン酸をあごに注入する方法。 

シリコンプロテーゼを挿入する手術は“お試し”というわけにはいかず、比較的大がかりな方法です。またシリコンプロテーゼの大きさには限界もあります。

一方でヒアルロン酸注入治療は、手術も不要ですし、シリコンプロテーゼでは難しい細かな調整が可能です。また最近はヒアルロン酸製材の持ちもよくなっています。手術は大変だし怖いという方は、ヒアルロン酸注入から試してみることもできるでしょう。

その他には、口元の突出が気になる場合には、歯列矯正でEラインからはみ出る口元を後ろに下げる方法もありますね。ただし、あごが小さい方の場合には、歯列だけではなくあごを整えてあげることが大事だと思います。

ヒアルロン酸注入治療は、大きく変わった

女性の顔の画像

――ヒアルロン酸注入治療で、不自然な顔になってしまうということはないのでしょうか?

ヒアルロン酸の注入というと、頬がパンパンに張った不自然な顔を想像する人がいらっしゃいます。しかし、それは古い注入技術のせいで、最新の技術では頬にヒアルロン酸をたくさん注入するようなことはせず、ポニーテールで引き上げたような輪郭を作ることを目的に、お顔の外側に主に注入していきます。

お顔の状態に応じて、頬骨の下、耳の前、こめかみなど、正面から見えない部分に細かく注入して、顔の輪郭や立体感を整えていきます。自然なのに確かにキレイになっている…、そんな仕上がりです。あごに注入する際も、お顔のバランスをみながら細かな調整を行うことで、自然な仕上がりの美しい横顔を手にいれることができます。

ネットの怪しい美容情報には気を付けて

fakeの画像

――インターネット上には様々な情報があります。例えば、表情筋トレーニングで、あごのたるみを取って横顔を美しくすることは可能なのでしょうか?

あごのたるみを防ぐために、表情筋トレーニングは多少の効果はあるかもしれませんが、本来必要でない無駄な表情筋の動きはシワを作る可能性があり、おすすめできません。

そもそも表情筋は、基本的に動かさない方がしわはできないとされています。過剰な筋肉の動きは同時に表面のしわも作っているということです。むやみに表情筋を動かさず、しわが寄らないようなトレーニングを行なうのであれば、顔の筋肉を鍛えること自体は良いかと思いますが、なかなか難しいのではないでしょうか。

――鼻をマッサージすることで、鼻を高くし横顔を整えるという方法はいかがでしょうか?

骨の成長が止まった大人世代では、鼻のマッサージをしても鼻が高くなることはありません。軟骨に刺激を与えても、形を変えることは難しいかと思います。鼻マッサージに医学的根拠はありません。


――Eラインを整えるために、日常生活で何かできることはありますか?

生まれながらのEラインを美容医療以外の方法で変えることは難しいですが、日常生活での努力で、加齢やくせによる変化を穏やかにすることは望めるかもしれません。

たとえば、口呼吸はEラインの崩れにつながります。口呼吸はいつもあごが下がった状態になるため、筋肉も骨も衰えてきます。幼い頃から口呼吸をするくせがあるのであれば、早いうちに治してあげるべきです。また食事をよく噛んであごを動かすことは、骨粗しょう症の予防にもなります。刺激が少なくなると骨粗しょう症になりやすくなるので、健康のためによく噛んで食事することは大切です。

美容クリニック選びのポイントは「医師」

――横顔はキレイになりたいけど、美容クリニックに行くのは怖い…という方にアドバイスをお願いします。

美容クリニック選び は、美容院選びと同じです。“どのクリニック”よりも“どの先生”か。治療を行う医師を見極めることが大切です。

まずはクリニックで医師のカウンセリングを受け、きちんとしたカウンセリングを行ってくれるかどうかを見極めましょう。カウンセリング後、すぐに治療を受けることを決めずに、一度持ち帰ってよく考えてみてもいいと思います。また、「カウンセリングをする人」と「治療をする人」は同じであるべきです。

また、安易にSNSの症例写真は信用するのも危険です。症例写真の画像は光の加減でいかようにも素晴らしくなります。嘘ではないが実物とは違うということもあるかもしれません。何よりも大切なのは実際施術を行う医師に会い、カウンセリングを受け、自分の目で確かめることだと思います。労力を惜しまず、自分に合う医師を見つけましょう。

取材協力

麻布ビューティクリニック 院長 加藤 聖子 先生

麻布ビューティクリニック 院長 加藤 聖子 先生

東京大学医学部卒業。東京大学付属病院整形外科学教室入局。都内総合病院にて整形外科を中心として麻酔科、救命救急医療などを習得し、都内美容外科にてフェイスリフトや脂肪吸引、目・鼻形成術などの手術を執刀。2008年、麻布ビューティクリニック設立。日本抗加齢美容医療学会会員。アラガン認定指導医発足時より、毎年選出されている。アラガンメンターシップに日本で唯一(アジアで8名)選出され、最先端の美容医療の普及活動にも注力。2021年、アラガン社より発足されたLeaders of the Future選任。 注入治療を牽引する世界の指導者44名の一人に日本で唯一選出された。『品良い仕上がり』を目指し、「若々しく、美しくいていただきたい」という想いで治療を行う。

麻布ビューティクリニック

住所:〒106-0045 東京都港区麻布十番2-14-11 ルート麻布ビル5・6階

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