「目の下のたるみがひどい原因は?」「目の下のたるみを自力で治す方法はある?」

目の下のたるみは、疲れた印象や老けた印象を与えるため、何とかしたいと考えている方は多いでしょう。

目の下のたるみ対策について調べると、マッサージや顔のトレーニングなどさまざまな方法が紹介されていますが、なかには間違った改善策が広まっていることもあります。

本記事では、目の下のたるみの原因や対策、治療方法について、ルラ美容クリニックの武内 先生に伺いました。

監修・取材協力:武内 大 先生(ルラ美容クリニック 渋谷本院 院長・統括院長)

目の下のたるみができるのはなぜ?医師が明かす原因の誤解と真実

目の下にたるみができる原因として、インターネット上ではさまざまな情報が紹介されています。しかし、紹介されているものの中には、誤った情報が隠れていることが明らかに・・・!

目の下にたるみを生じさせる原因について、武内先生に教えていただきました。

加齢による骨の変化

目の下のたるみが生じる要因として「加齢による骨の変化」が関与しているというのは真実です。

顔の骨は、筋肉や脂肪、皮膚を支える土台の役割を果たしていますが、加齢に伴い、骨密度が徐々に低下し骨が委縮していきます。

骨が縮むと、眼球が入っている眼窩(がんか)というくぼみは広がり、骨で支えられていた目の周りの皮膚や脂肪などが垂れ下がり、目の下にたるみが生じてしまうのです。

加齢による目元の筋肉の変化

目の下のたるみが生じる要因として、「加齢による目元の筋肉の変化」が関与しているというのは真実です。

眼輪筋などの目の周りの筋肉は、加齢とともに衰えていくため、筋肉によって抑えられていた目の下の脂肪(眼窩脂肪)が前へ押し出されて、目元のたるみが目立つようになります。

加齢による皮下脂肪の量の変化や移動

目の下のたるみは、目の下の脂肪が重力に負けて垂れ下がったり増えたりすることによって引き起こされるというのは真実です。

眼窩脂肪の量は、西洋人に比べて東洋人のほうが多く、加齢とともにその容積が増加する傾向にあるため、日本人は比較的脂肪の下垂が生じやすいといえるでしょう。

加齢によって骨や筋肉だけでなく脂肪の変化することで目の下のたるみにつながっていきます。

皮膚の弾力やハリの低下

目の下のたるみが生じる要因として、「皮膚の弾力やハリの低下」が関与しているというのは真実です。

加齢や紫外線ダメージの蓄積によって、皮膚の真皮層にある肌のハリに欠かせないコラーゲンや肌の弾力を保つエラスチン、肌のうるおいを保つヒアルロン酸の分泌が減ったりします。

また、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸など産生する線維芽細胞の損傷や機能低下が起きるため皮膚の弾力が低下し、ハリを失った状態になります。

その結果、目の下にたるみが生じているように見えることがあります。

目の下への摩擦刺激

目の下のたるみが生じる要因として、目の下を擦るなどの摩擦刺激が多少関与しているというのは真実です。

目の下の皮膚をマッサージなどでこすった場合、摩擦によって皮膚はダメージを受けます。ダメージが積み重なった結果、目の下の皮膚がたるむこともあるでしょう。

たるみの直接の原因とは言いがたいですが、まったく無関係とも言い切れません。

老廃物が蓄積することで起こる顔のむくみ

巷では「老廃物が蓄積して生じた顔のむくみが、目の下のたるみの原因になる」というのは誤解です。

そもそもむくみとは、体の組織の間に体液(水分)とナトリウムが増加し、腫れぼったくなった状態のことを指します。

むくみによって、たるんだ皮膚や皮下組織が張ることはあっても、目の下のたるみの原因になることはないでしょう。

目の使い過ぎ

巷では「目の使い過ぎが目の下のたるみの原因になる」といわれることがありますが、これは誤解です。

スマートフォンやパソコンの見過ぎなどの目を酷使した場合に生じるのは、目の痛み、目のかすみ、まぶしさ、充血などの症状です。

皮膚や皮下組織に直接影響があるわけではないため、目の下のたるみの原因にはなりません。

目の下のたるみはクマとどう違う?

目の下の「クマ」と「たるみ」を混同している方も見られますが、目の下の皮膚の色の違いがクマ、形態的変化がたるみとなります。

クマとは、色素沈着や血行不良により、目の下の皮膚の色がほかの部分と違って見える状態です。花粉症やアトピーなどの影響で目をこすったり、メイク・日焼けによって色素沈着が生じたりして引き起こされる茶色っぽいクマを「茶クマ」、血行不良によって引き起こされる青っぽいクマを「青クマ」などと一般的に呼んでいます。

一方、目の下のたるみは、肌内部にある骨や筋肉、皮下脂肪などが加齢によって変化したことによって生じます。その際、たるみができたせいで皮膚に影ができ、目の下が黒っぽく見える場合があります。この状態は黒クマや影クマ、たるみクマと呼ばれています。

たるみとクマが混同されるのは、もしかするとこのせいかもしれません。

目の下のたるみ対策。医師が教える意外な落とし穴とは?

インターネットをはじめ、さまざまなメディアで目の下のたるみを治す方法や取る方法が取り上げられていますが、いずれも対策として適切といえるのでしょうか。

武内先生に伺いました。

目の周りのマッサージやツボ押し

目の下のたるみ対策として、マッサージやツボ押しが紹介されることがありますが、残念ながら改善効果は期待できません。

目の下のたるみは、加齢による骨や筋肉の変化などによって生じるので、筋肉をほぐしても目の下のたるみが消えることはないでしょう。

また、眼輪筋などの目周りの筋肉はとても小さいため、マッサージなどをするとダメージを受けて、むしろ目の下のたるみが悪化する可能性もあります。

さらにマッサージは皮膚にもダメージを与え、しわが生じる場合もあるので行わないほうがよいでしょう。

眼輪筋を鍛えるトレーニング

目の下のたるみ対策として、眼輪筋のトレーニングが紹介されることがありますが、残念ながら有効な方法といえません。

人によっては、トレーニングで一時的に目の下の脂肪の突出が目立たなくなり、たるみが改善されたように感じられることがあるでしょう。ですが、その効果はあくまで一時的なものです。

トレーニングによって、薄く柔らかい目の周りの皮膚にしわが刻まれてしまう可能性もあるため、眼輪筋など目の周りの筋肉を鍛えるトレーニングは行わないほうがよいでしょう。

アイクリームや美容液などの化粧品

目の下のたるみ対策として、アイクリームや美容液などの化粧品がおすすめされる場合がありますが、残念ながら改善効果は期待できません。

目の下のたるみの原因は、皮膚より奥の骨や筋肉などの変化によって引き起こされるため、化粧品などでいくらスキンケアを頑張っても、目の下のたるみを改善できるとはいえません。

なお、化粧品によっては、くすみや色素沈着、乾燥による小じわなどの改善効果があるとされているため、悩みに合わせて取り入れるといいでしょう。

目元美顔器などの家庭用美容機器によるケア

目の下のたるみを改善する方法として、目元美顔器がおすすめされることがありますが、残念ながら効果は一時的といえるでしょう。

クリニックで用いられる医療機器と異なり、家庭で使える美容機器は、誰もが安全に使えるようにパワーが抑えられています。そのため、顔の奥にまで与える影響はとてもわずかです。

ケアの直後に一時的な改善効果を期待できる可能性はありますが、根本的な改善にはつながらないでしょう。

毎日の紫外線対策

目の下のたるみを予防、または悪化防止を目的に紫外線対策をすることは大切です。

紫外線による皮膚のダメージが蓄積すると、目の下のたるみが悪化する要因になり得ます。

美容医療を活用する

目の下のたるみをセルフケアで改善するのはなかなか難しいものですが、美容医療ならば、できてしまった目の下のたるみにもアプローチが可能です。

メスを使う方法、ヒアルロン酸などを注入する方法など、さまざまな治療法があります。

治療法によって特徴や効果が異なるため、医師と相談して、自分に合った方法を選ぶようにしましょう。

目の下のたるみを治すには美容医療も一つの手

目の下のたるみの治療は、比較的選択肢が豊富で、好みや要望に応じて選ぶこともできます。主な治療法をご紹介します。

※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません

  • ヒアルロン酸注入治療
  • 脂肪注入治療
  • 外科手術による治療
  • その他の治療(HIFUなどの高周波や超音波による照射治療、PRPなどの再生医療を用いた治療)

ヒアルロン酸注入治療

目の下のたるみの治療には、骨や皮下脂肪のボリュームロスした部位にヒアルロン酸を注入し、補う方法が有効といわれます。外科手術に抵抗があり、短期間での改善を求める方に適しています。

ただし、ヒアルロン酸は時間がたつと徐々に吸収されていくため、定期的に注入を行いメンテナンスする必要があります。

脂肪注入治療

脂肪注入治療は、ご自身の身体から吸引した脂肪を目の下に注入する方法です。

注入した脂肪の一部は定着し、半永久的に効果が期待できます。自己組織を注入するのでアレルギーが起きにくいというメリットはありますが、注入するための脂肪を吸引する際、痛みが生じたり血栓ができやすくなったりするというデメリットもあります。

目の下のたるみ治療の場合、目の下のボリュームロスした部位に脂肪を注入して、たるみを改善します。

外科手術による治療

外科手術は、目の下のたるみをメスによって改善する治療法です。

重度のたるみにも対応可能で、術後の状態を長く維持できるというメリットがあります。メスを使うことに抵抗がない場合、外科手術を推奨されるケースが多いでしょう。

目の下のたるみに関する疑問

目の下のたるみに関する気になる疑問を、武内先生に答えていただきました。

目の下のたるみができやすい人の特徴は?

目の下のたるみができやすいとされるのは、骨格などの影響で目袋がはっきりした顔立ちの方です。

改善したい場合、加齢によってたるんできた目袋を手術で取り除き(経結膜脱脂)、骨や皮下脂肪がボリュームロスした部位を注入治療で整えるなどして治療する方法が挙げられます。

目の下のたるみを即効で取る方法は?

目の下のたるを改善する方法として、ヒアルロン酸などの注入治療は数日で改善効果が期待できるため、見方によっては即効といえなくもないでしょう。

しかし、「今、たるみを取りたい」という場合は、メイクで一時的に目立たなくするのが有効でしょう。

メイク以外に目の下のたるみを即効かつ根本的に改善する方法は、残念ながら今はありません。

目の下のたるみは自力で治すことはできる?

目の下のたるみを自力で治すことは、残念ながらできません。

スキンケアによって一時的に目立たなくすることはできるかもしれませんが、目の下のたるみを根本的に改善するには美容医療に頼るといいでしょう。

目の下のたるみ専用の引き上げテープに効果はある?

目の下のたるみを引き上げるなどとうたった、ヒアルロン酸のニードル(針)がちりばめられたテープやパッチが販売されていますが、改善効果は期待できないでしょう。

テープやパッチなどは、スキンケア同様アプローチできるのは皮膚までなので、主な原因となる骨や筋肉、皮下脂肪の変化には対応できないためです。

参考文献

Bella Pelle Vol.4 No.4.メディカルレビュー社,2019

監修・取材協力

ルラ美容クリニック 渋谷本院 院長・統括院長 武内 大 先生

ルラ美容クリニック 渋谷本院 院長・統括院長 武内 大 先生

2012年、宮崎大学医学部医学科卒業。焼津市立総合病院、東京大学医学部附属病院 形成外科、埼玉医大総合医療センター 形成外科 助教を経て、美容外科の道へ。国内最大手クラスの品川美容外科で、3つの院で院長を歴任したのち、2019年にルラ美容クリニック高田馬場院を開院。2021年より現職。全国16院を展開している(2023年10月現在)。ヒアルロン酸注入と糸リフトに関しては海外にも招待され、賞を受けている。日本美容外科専門医。

ルラ美容クリニック 渋谷本院

〒150-004 東京都渋谷区道玄坂1丁目12-1 渋谷マークシティウェスト14階

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