美容医療のニーズは、フェイシャルだけでなくボディケアの分野でも高まってきています。ボディケア需要の高まりとともに、美容医療では、メスや針を使わずに簡単に自分らしい体型を目指せる施術も増えています。

美容医療で自分らしいボディラインを実現する方法や自分にあった医療機関を見つける方法について、アオハルクリニックの小柳衣吏子先生にお話をうかがいました。

監修:小柳 衣吏子 先生 (アオハルクリニック 院長)

「自分らしい体」と「理想の体」、本当になりたいのはどっち?

自分の体に不満を感じている人は、79%

最近では「ボディ・ポジティブ」と呼ばれる「ありのままの自分を受け入れよう」というムーブメントが広まり、自分らしさを意識する人が増えてきているといわれます。

一方で、トレーニングなどによって理想的な体に整えるボディメイクも流行しており、引き締まった背中、割れた腹筋、えくぼのあるヒップといったボディを目指す人も少なくありません。

アラガン・エステティックスが世界の12,000人以上を対象に行った調査(1)によると、8割近くの人が自分の体のパーツに不満を感じていることもわかっています。自分らしくありたいと思う気持ちと、理想の自分を追求したいという気持ちのはざまで、ジレンマを抱えている人が多いように感じられます。

コロナ禍で増えた体重は、平均6.1kg

理想のボディになりたいと感じるのは、コロナ禍の影響もあるかもしれません。新型コロナウイルス感染症の流行が最も大きかった時期には、世界各地でロックダウンが行われ、外出せずに家で過ごす人が増えました。

新型コロナウイルス感染症による生活環境の変化によって、約3人に1人が「体重が増えた」と答え、平均して6.1kgほど体重が増加したという調査結果もあります(1、2)。

「自分らしいボディでいたいけど、増えてしまった体重は減らしておきたい」という思いが、ボディメイクブームの裏側で渦巻いているようです。

注目が集まるボディの美容医療

フェイシャルからボディへ、変わる美容医療のニーズ

生活環境の変化により増えてしまった体重を減らしたいという心理も手伝ってか、最近ではボディ分野への美容医療のニーズが高まっています。

瘦身治療は、ボディ分野の美容医療で主流といえるもののひとつです。最近では、機器を施術部位にあてることで、メスや針を使わずに脂肪細胞そのものを減らす施術が人気になっており、2022年から2027年にかけて年間成長率6.9%とも予想されていることからも注目度の高さがうかがえます(1)

以前は美容医療というと、二重施術や、しわ・シミの改善などのフェイシャルがメインでした。しかし、今後は、メスや針を使わずより安全に脂肪減少が叶う可能性の高い施術の登場によって、美容医療でボディメイクをしたいと考える消費者が増えていくでしょう。

withコロナがボディへの美容医療を受ける後押しに?

withコロナでオンライン化が進んだことも、ボディの美容医療を受ける後押しになっているようです。小柳先生は、コロナ禍をきっかけに、今まで多忙で通院時間やダウンタイムがとれなかった患者さんが、ご自身のクリニックに来院するようになったと話します。

「普段お仕事がお忙しい方や経営者の方々が、『こういう時しか時間がないから』と来院されるようになりました。コロナによってオンラインでのやりとりが増えると、カメラに映らない部位ならば多少のダウンタイムを気にせず施術を受けやすくなります。

また、医療機関の設備にもよりますが、部位によっては施術を受けながら仕事やオンライン会議の対応が可能なケースもあります。そうしたことも、ボディの美容医療を受ける人が増えている要因のひとつなのかもしれません」

より魅力的に年齢を重ねたいなら。医療の力を取り入れるのも◎

メスを使わない治療――美容医療の技術も進化し、方法や種類も選べる時代

現在は医療技術の進歩によって体への負担が少ないさまざまな施術方法を、個人の希望やコンプレックスに応じて専門の医師に相談・選択するが可能です。

特に、年齢を重ねて変わってきたボディラインを整えたり、自分ではどうにもできない部位をへこませたりするのに、美容医療が大きな力を発揮することもあります。

中でも脂肪冷却治療は、メスを使わずにボディケアができる負担の少ない美容医療です。

脂肪冷却治療は「ヒトの体では、冷やされた脂肪細胞が結晶化し、体外に排出される」という研究結果を応用し、ねらった箇所の脂肪細胞を適切な温度で冷やすことにより、部分痩せが期待できるとされています。

近年では、患者さんからの人気も高く「患者さんから脂肪冷却治療を受けたいという指定がある」と小柳先生は話します。

脂肪冷却治療以外にも、メスを使わずにボディメイクができる美容医療はいくつかあり、各医療施設により患者さんの要望に応じてカウンセリングや施術をしているそうです。

なりたいボディイメージは多様に進化中

より手軽に脂肪を減らそうと考える人は増加傾向にあるものの、美容医療によってボディラインを劇的に変化させたいと考える人は以前より減っているというのが、小柳先生の実感だそうです。先生いわく、「理想の体のイメージは多様化してきている」のだとか。

「患者さんの好みや理想の体型にも関係するとは思いますが、求める変化がいたってソフトになっていると思います。極端にウエストをへこませてほしい、もしくはグッと細いくびれをつくってほしいといった大きな変化を求める方は少なくなっています。

以前は『胸がバーンと出て、ウエストがギュッと細くて、おしりがパンッと張っている』といった、画一的なボディイメージを持っている方が多かった印象ですが、そうではなくなっているのかもしれません。『みんなが同じ理想を追い求める』時代から『自分らしい体型を求める』傾向になっているのではないでしょうか」(小柳先生)

画一的なイメージを目指してボディメイクをするのではなく、自分のボディラインを受け入れつつも、その中でより好きな自分になりたいと考える人が増えているといえそうです。

信頼できる医師を見つけて、相談を

美容医療を検討するなら、信頼できる自分に合ったクリニックを見つけることも大切です。そのためのポイントを小柳先生にうかがいました。

クリニック選びのポイントは、価格が自分の予算金額と見合っている、同じ医師に担当してもらえる、院内が清潔など、人によってそれぞれ異なります。自分が重視するポイントを、ホームページや実際にカウンセリングで訪れた時などに確認すると、自分に合った医療機関を選びやすいのではないでしょうか。

また、医師の治療方針と合うかどうかも重要なポイントです。私は、担当する患者さんには健康美を手に入れてほしいと考えています。クリニックの技術だけでなく医師の方針も確認し、自分の考えとより近い、相性のよいクリニックを見つけていけるとよいですね」

信頼できる医師と美容医療の力を借りて、自分らしいボディを目指していきましょう。

参考文献
1.「THE FUTURE OF AESTHETICS」February 2022 - Allergan Aesthetics an AbbVie company
2.  Ipsos, “The implications of COVID-19 on our diet & health”, January 2021

監修・取材協力

アオハルクリニック 院長 小柳 衣吏子 先生

アオハルクリニック 院長 小柳 衣吏子 先生

順天堂大学医学部卒業後、同大学病院・浦安病院・伊豆長岡病院(現 静岡病院)などの勤務を経て、皮膚科・美容皮膚科の基本を徹底的に学び、2011年アオハルクリニック院長に就任。皮膚科の専門知識を持ちながら、外見から美しくする美容皮膚科医として、メスを使わずに女性の外見の悩みを解消する。また、体の中からのウェルエイジング指導も、外側からのケアに負けないほど熱心に行っており、自身も365日、24時間、ウェルエイジングを目指して邁進する実践派。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本美容皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会専門医

医療法人財団 青輝会 アオハルクリニック

住所:〒106-0032 東京都港区六本木6-15-1 六本木ヒルズけやき坂テラス5F

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