しわ、たるみは生活習慣が大きな要因です。

不規則な食生活、喫煙や過度の飲酒、睡眠不足、女性ホルモンの低下、ストレスなど原因はさまざまですが、「紫外線」と「乾燥」、そして「加齢」が三大原因と言われています。

しわやたるみはどのようなメカニズムで発生するのか、またどのように対策をとるべきなのか、解説していきます。

監修・取材協力:古山 登隆 先生(医療法人社団 喜美会 自由が丘クリニック 理事長)

しわ・たるみの三大原因

しわ・たるみの原因①:乾燥

乾燥により、肌表面の水分が失われることにより「ちりめんじわ」が現れます。これは、しわの比較的初期の状態です。(1)

しわ・たるみの原因②:紫外線

紫外線は、老化に大きな影響を与えています。

紫外線の影響について、「日焼けによってシミができる」というのはわかりやすいですが、日焼けとしわ、たるみの関係性については、まだまだ認知が少ないのではないでしょうか?

紫外線の影響によって、引き起こされる皮膚の老化を「光老化」と呼びます。(2)

「光老化」では、皮膚(真皮)にある肌のハリを保つ線維が破壊されることにより弾力性が欠け、皮膚が厚くゴワゴワになり、深くて直線的なしわが現れるのが特徴です。(1),(2)

最近は、日焼け止めアイテムに書かれている、人間にとって有害性が強い紫外線の「UV-B波」から肌を守るSPF値だけでなく、肌のシミやしわの原因をつくる「UV-A波」から肌を守る指標であるPA値の大切さも広がってきました。(1)

しかし、紫外線としわ、たるみを切り離して考えている人はまだ多いようです。

しわ・たるみの原因③:加齢

※イメージ
文献(3)を参考に作成

加齢によるしわやたるみは、顔の奥に原因があります。

私たちの顔は骨・筋肉・皮下脂肪(皮下組織)・真皮(皮膚)・表皮(皮膚)の五つの層から成り立っています。(3)

しわやたるみは皮膚の表面だけで起きているものと思われがちですが、実はこれらすべての層が関わっています。

加齢とともにそれぞれの層に変化が起き、しわやたるみを作っているのです。

 

1. 加齢によって顔に起こる変化~骨~

加齢とともに顔の骨も縮むってご存じでしたか?

体の骨と同様に、顔の骨も加齢とともに骨密度が減少し、小さくなります。(3)

※イメージ
文献(3)を参考に作成

こめかみ、眼窩(がんか:眼球が入っているくぼみ)のまわりは広がり、頬・あごのまわりの骨はへこみ、痩せこけます。(3)

顔の骨は「顔の土台」として筋肉や皮下脂肪(皮下組織)、真皮(皮膚)、表皮(皮膚)を支えています。(3)

骨に変化が起きると皮下脂肪(皮下組織)、真皮(皮膚)、表皮(皮膚)が十分に支えられずに垂れ下がり、たるみやしわを引き起こします。(3)

 

2. 加齢によって顔に起こる変化~皮下脂肪(皮下組織)~

加齢とともに皮下脂肪の減少や移動によって、たるみが引き起こされます(3)

※イメージ
文献(3)を参考に作成

額やこめかみのへこみ、頬のコケは皮下脂肪が元々あった場所から下に移動(下垂)し、通常よりも量が減ることにより引き起こされます。(3)

頬の皮下脂肪が元々あった場所から下に移動(下垂)し、口のまわりの皮下脂肪の量が減ることにより、しわの溝が深くなります。(3)

フェイスラインのたるみは皮下脂肪が元々あった場所から下に移動(下垂)することにより引き起こされます。(3)

 

3. 加齢によって顔に起こる変化~皮膚~

加齢や紫外線を長年浴び続けることにより、真皮に存在するコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸が失われます。それによって、肌のハリや弾力が低下し、しわやたるみが生じます(1),(3)

しわの種類別、原因と必要な対策

しわには、小じわ、大じわ(構造じわ)、表情じわ、たるみじわなどがあります。

実は、しわの種類によって原因や対策は異なります。それぞれのしわの特徴と必要な対策についてご説明します。

※国内承認薬または機器が存在しない治療を含む可能性がありますが、それらを推奨するものではありません

小じわの原因と対策

小じわとは肌表面の乾燥によって表皮に現れる「ちりめんじわ」で、比較的初期の状態です。

小じわは、化粧品などで肌を保湿することにより目立たなくなる可能性があります。(1)

「乾燥による小じわを目立たなくする」と記載のある化粧品は、ある一定の基準を満たし、効果が認められている商品です。(4)

また、美容医療の治療では、小じわ改善の方法の一つとしてトレチノイン治療やケミカルピーリングが推奨されています。(1),(4)

しかし、深いしわの場合には、主にコラーゲンやエラスチンなどで構成される真皮が関わるしわである可能性があり、化粧品やケミカルピーリングによる改善は難しくなります。

大じわの原因と対策

加齢や紫外線ダメージによって、真皮にあるコラーゲンやエラスチンなどの弾力線維が皮膚の重力を支えきれなくなることで、大じわやたるみが現れます。(1),(2),(5)

大じわは化粧品では改善することが難しいしわです。

美容医療の治療では、コラーゲンの再生を促す、ヒアルロン酸注入やレーザー照射、高密度焦点式超音波(HIFU)などの治療オプションが検討できるでしょう。(4)

表情じわの原因と対策

表情じわは、笑ったり、怒ったりするときに、30種類以上あるとされる表情筋という筋肉の収縮(緊張)によって、眉間、目尻、口の横、額などにできるしわのことです。(3),(7)

表情じわは、本来一時的なものですが、繰り返し筋肉を動かし続け、加齢とともに皮膚の弾力も低下することによって、慢性化することで“刻みじわ”となってしまいます。(7)

表情じわが刻みじわになるメカニズム

※イメージ
文献(7)を参考に作成

代表的な表情じわ

  • おでこの横じわ

この部分のしわは、疲れた印象を与えます。

化粧で隠そうとしても、くぼみにファンデーションが詰まって余計に目立つこともあります。

  • 眉間の縦じわ

眉間にしわがあると不機嫌な顔に見られがちです。(6)

イライラしたときや細かい文字を見るときにできるしわは、消えないしわの原因にもなります。

  • 目尻のしわ(笑いじわ)

笑ったときなどにできるしわです。(7)

眼の周りの皮膚や眼の周りの筋肉が衰えてくると、表情を戻してもしわが残ったままになります。(7)

  • あごのしわ(梅干しじわ)

口を閉じたときに筋肉が緊張して、下あごの先にしわができることがあります。(7)

このしわは俗に「梅干し」と言われることもあります。(7)

表情じわも、残念ながら、化粧品では改善することが難しいしわです。

美容医療では、眉間のしわや目尻のしわの場合は、ボツリヌス治療が選択されやすいでしょう。(6)

ただし、深く刻みこまれたしわの場合には、ボツリヌス治療のみでの改善が難しい場合もあり、その場合にはヒアルロン酸注入治療などほかの治療との併用が必要になることがあります。※1,2

※1:監修医師の臨床経験に基づく
※2:併用治療の有効性・安全性、またどれくらい期間を空けるかなどは検証されておりません

たるみじわの原因と対策

たるみじわは、文字どおり、肌がたるんでしまうことでできるしわです。(3)

実は、多くの方が悩まれるほうれい線は、深いしわではなく、土台となる骨が減り、重力に よって皮下脂肪が垂れ下がった頬のたるみによってできる、たるみじわの一つです。(3)

 

代表的なたるみじわ

  • ゴルゴライン

目頭の下から頬の中央に向かって斜めに伸びる、ライン状のたるみじわです。(3)

実年齢より老けた印象を与えます。

  • ほうれい線

皮膚や筋肉のたるみが原因で、加齢とともに段々と目立つようになります。(3)

ハの字に深く刻まれたしわは、老けた印象を与えます。

  • マリオネットライン

口角からあごに向かって下へ伸びる、たるみを感じさせるラインです。(3)

ふっくらとした顔の人ほどできやすい傾向があります。

ほうれい線やマリオネットラインは、しわの一種ではありますが、本来の原因はたるみです。(3)

対策を考える際には、たるみの改善を意識することが重要となります。

たるみじわの改善には、ヒアルロン酸注入治療などの美容医療が有効です。(3),(4)

そのほかには、糸リフト(溶ける糸を用いたリフトアップ治療)、機器を用いた高密度焦点式超音波(HIFU)や、ラジオ波を用いた高周波治療、手術によるフェイスリフトなどの治療が検討できるでしょう。(4)

参考文献

(1) 安田 利顕, 漆畑 修: 改定10版 美容のヒフ科学: 南山堂. 2021
(2) 今山 修平: Bella Pelle. 2(2): 16-19. 2017
(3) 古山 登隆: 解剖から学ぶヒアルロン酸注入療法: メディカルレビュー社. 2020
(4) 川田 暁: 美容皮膚科ガイドブック 第3版: 中外医学社. 2023
(5) 病気がみえる vol.14 皮膚科第1版: メディックメディア. 2016
(6) 古山 登隆: PEPARS. 170: 1-10. 2021
(7) 佐藤 英明: Bella Pelle. 2(2): 20-23. 2017
(8) 岩城 佳津美: Bella Pelle. 2(2): 28-32. 2017

監修・取材協力

医療法⼈社団 喜美会 ⾃由が丘クリニック 理事⻑ 古⼭ 登隆 先⽣

医療法⼈社団 喜美会 自由が丘クリニック 理事長
古山 登隆 先生

医学博士。北里大学医学部卒業。同大学チーフレジデント、外科研究員、形成外科講師を経て、1995年自由が丘クリニックを開設。国立大学法人千葉大学 医学部形成外科 非常勤講師などを務める。日本形成外科学会認定形成外科専門医。ヒアルロン酸やボツリヌストキシン製剤の注入、糸リフト、レーザーなどを組み合わせた、メスを使わずにより美しくなるためのケアを主に行う。

医療法⼈社団 喜美会 ⾃由が丘クリニック

住所:東京都目黒区八雲3-12-10 パークヴィラ2F・3F・4F

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