昨今、「バブみ顔」と呼ばれる顔立ちがSNSやメディアで取り上げられています。丸みのあるフェイスラインやぷっくりとした涙袋など、幼さを感じさせるのが特徴で、韓国アイドルの顔立ちに近いため、「あんな顔になりたい」とあこがれる人が多いようです。「バブみ顔」を目指すメイク術も多く紹介されています。

「バブみ」を印象付ける重要なポイントの一つが、目・鼻・などを含む“中顔面”だといわれています。

そこで今回は、理想的な「バブみ顔」を目指すためのポイントについて、品川スキンクリニックの方波見 有貴 先生に詳しくうかがいました。

監修・取材協力:方波見 有貴 先生 品川スキンクリニック(品川美容外科グループ) 横浜院 院長

韓国アイドルに学ぶ!今なりたい「バブみ顔」ってどんな顔?

「バブみ顔」の「バブ」は、幼さやあどけなさを表す「bab」や「baby」に由来します。

丸みのあるフェイスラインやぷっくりとした涙袋など、幼く、あどけないバブみ顔が多くの人に支持される理由について方波見 先生は、「人間の本能的な心理が関係している」と話します。

人は無意識に、子どもや赤ちゃんに対して親近感や安心感、「守ってあげたい」という気持ちを抱きやすいもの。(1) バブみ顔が持つ幼く柔らかい印象は、こうした感情に訴えかけるため、ポジティブなイメージを与えやすいと考えられています。そのため、バブみ顔は単なる美容トレンドにとどまらず、共感をよびやすい顔立ちとして広く受け入れられているのです。

そして、そんなバブみ顔を語るうえで欠かせないのが、“中顔面”の存在です。

なぜ「中顔面」がバブみ顔の鍵になる?

中顔面とは、顔の縦幅を上中下に分けたとき、真ん中にあたる部分。どこからどこまでを指すかは諸説ありますが、本記事では、目の下の涙袋から鼻先までの範囲を中顔面と定義します。

中顔面とは目の下の涙袋から鼻先までの範囲

大人になるにつれて顔は間延びし、若々しい印象が失われていくと考えられています。(2)

この「間延び」を解消する鍵となるのが、中顔面です。バブみ顔とは、子どものように目と口の位置が近く、バランスが整っている顔立ちを指します。

中顔面に十分な立体感やボリュームがあれば、光の加減で間延びして見えず、(3)~(5) 若々しいバブみ顔に近づけます。若々しく明るい印象を与えるためにも、中顔面が重要なのです。

医師に聞く、バブみ顔な「中顔面」のポイント

対策の前に、バブみのある中顔面を構成する4つのポイントを、方波見 先生に教えていただきました。

バブみ顔を叶える中顔面のポイント

涙袋がある

涙袋は、顔のバランスを整え、幼さを演出する上で欠かせない要素です。

涙袋には目の印象を強めるだけでなく、中顔面を短縮し、幼くかわいらしく見せる効果があります。涙袋があることで、目元に視線が集中し、中顔面全体がキュッとしまったように見えるのです。(6)

涙袋をなくすと、顔が間延びし、老けて見えやすくなります。

ふっくらとした丸みのある頬

中顔面に適切な高さとボリュームがあることで、顔全体に立体感が生まれ、若々しくかわいらしい印象になります。こめかみから頬にかけての、S字のなめらかな曲線は「オージーカーブ」とよばれます。(3)

オージーカーブがあるとバブみ顔に近づく

フェイスライン全体がオージーカーブに沿ってふっくらとしていることが、バブみ顔の大きな特徴です。したがって、ナチュラルで魅力的な「バブみ」を演出するには、ふっくらとした自然な丸みを保つことが重要です。

頬の高さが失われると、頬骨が横に張り出したように感じられ、顔が大きく見えがちです。日本人を含むアジア人(モンゴロイド)は、そもそも骨格の影響で横顔が平坦な傾向があり、オージーカーブが目立ちにくいケースも少なくありません。(7),(8)

小ぶりで主張の少ない鼻

鼻は顔の中心にあるため、顔の全体的なバランスに影響を与えやすいパーツです。(3)

バブみ顔における鼻の特徴としては、まるでそこにあることを忘れてしまうほど、小ぶりで主張が少ない、いわゆる「忘れ鼻」が挙げられます。(3)

コンパクトに見える中顔面

中顔面は面積のわりにパーツが少ないため、余白感が目立ちやすく間延びしやすいエリアといえます。

おでこやあごは前髪や服で隠すことができますし、口元はリップの色で印象を変えることができます。しかし、印象を変えるパーツが少ない中顔面の自然な立体感をメイクやセルフケアだけで演出するのは難しいでしょう。

セルフケアだけではカバーしきれず、印象を変えるのが難しいからこそ、中顔面をどうケアするかが、バブみ顔に近づくための重要なポイントとなるのです。

また、シミや毛穴、くすみといった肌にとってノイズになるものが少なく、ナチュラルなツヤ感があることも、「バブみ顔」の理想です。

光が当たった際に自然なツヤが生まれ、肌を美しく見せる「ハイライト効果」も期待できます。

どうしてもバブみ顔に近づけない…その理由は「骨格」?

中顔面をケアするために、メイクやセルフケアを工夫している方もいるでしょう。「でも、いまいち理想に近づけない…」そんなふうに思ってはいませんか? その理由は、中顔面の印象を大きく左右するのが、メイクやセルフケアでは変えられない「骨格」にあるからです。

骨格的に中顔面が平坦になってしまう

アジア人の頭蓋骨と西洋人の頭蓋骨

※イメージ
文献(13)を参考に作成

アジア人の骨格は、西洋人と比べて、口元を支える上下のあごが突出しています。そのため、中顔面に高さが出にくく、立体感の少ないフラットな印象になりがちです。(7) また、頬骨が横に張って見え、人によっては、顔全体が大きく見えてしまうこともあります。

中顔面が平坦だと、バブみがなくなるのはなぜ?

中顔面が平坦だと、顔が間延びして見えたり、疲れた・老けた印象を与えたりしやすくなります。

年齢を重ねると、骨格的な平坦さに加え、顔の内部の骨や脂肪が減少して立体感が失われ、さらにバブみから遠のいてしまいます。(3)

加齢による骨の変化

※イメージ
文献(3)を参考に作成

こうした中顔面の構造的な特徴や加齢による変化には、セルフケアだけでは十分に対応できない場合もあります。

理想の「バブみ顔」に近づくための選択肢

白衣姿の医師5人と、口元に手を当てて考える女性

メイクやセルフケアだけでは難しい立体感の調整やボリュームのコントロールも、美容医療ならアプローチが可能なケースがあります。

中顔面にアプローチできる美容医療の選択肢

「バブみ顔」を目指す上でよく用いられている治療法を下記にご紹介します。

※国内承認薬または機器が存在しない治療を含む可能性がありますが、それらを推奨するものではありません
※併用治療の有効性・安全性、またどれくらい期間を空けるか等は検証されておりません

これらの施術によって、頬など特定の部位のボリュームアップや印象の変化により、バブみ顔に近づける可能性があります。(3),(10)~(12)

治療法の選択肢は今も増えているため、要望に合わせて使い分けることができます。求める効果や顔立ちはもちろん、ダウンタイム の有無やコスト、施術回数などさまざまな面で納得のいく方法になるよう相談してみましょう。

多岐にわたる方法があるからこそ、求める印象や顔立ちに合わせて医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけることが重要です。

※施術後から回復までの期間のことで、施術前の生活を取り戻せるまでの期間

バブみ顔に近づきたいなら、まずは医師に相談を

バブみ顔は、日本人の持つ元々の丸みを活かせる、日本人に合った顔立ちの一つといえます。

今回説明したような、共通した特徴はありますが、実際にバブみ顔を目指す場合、そのゴールは人それぞれ異なります。たとえば、面長な顔と切れ長の目が印象的なクールビューティーな顔立ちの方がバブみ顔を目指す場合、その人ならではの魅力を活かしながら、理想のイメージに近づける方法を考えることが大切です。

だからこそ、医師との相談が重要になります。自分の顔立ちや骨格を理解し、その魅力を最大限に引き出す方法を考えてくれる医師と一緒に、理想の自分に近づくための一歩を踏み出していきましょう。

自分のなかで具体的な施術が決まっていなくても、まずはクリニックに相談することで、その人に適した治療法を提案してもらえます。

ヒアルロン酸注入治療のように、体への負担が少ない「非侵襲治療」であれば、ポイントを絞って少しずつアプローチすることで、大きな変化を必要とせずに理想に近づくことも可能です。(3),(10)~(12)  なかには、医師と一緒に仕上がりを確認しながら受けられるクリニックもあります。

美容医療には、メリットだけでなく、リスクや副作用、相応の費用もともないます。初めての治療には、さまざまな不安もつきものでしょう。それらの不安については、受診時に医師にしっかりと伝え、納得できるまで説明をしてもらうことが重要です。そのうえで治療を受けるかどうかを判断してください。専門家である医師に相談し、ご自身に合った治療法を見つけることで、毎日が今より前向きに過ごせるかもしれません。

参考文献
(1) Glocker ML, Sachser N et al: Ethology. 115(3): 257-263. 2009
(2) Enlow, D. H., & Hans, M. G. " Essentials of Facial Growth". WB Saunders Company. 1996
(3) 古山 登隆: 解剖から学ぶヒアルロン酸注入療法: メディカルレビュー社. 2020
(4) 竹井 賢二郎: 美容皮膚医学BEAUTY, 6(2): 4-9. 2023
(5) 久保 隆之: Bella Pelle. 4(4): 29ー37. 2019
(6) Wong CH, Hsieh MKH, Mendelson B. : Plast Reconstr Surg. 129(6): 1392-1402. 2012
(7) Hwang HS, Kim WS, McNamara JA Jr: Angle Orthod. 72(1): 72-80. 2002
(8) Yan Dong, Yimin Zhao, Bo Wang, et al: Journal of Oral and Maxillofacial Surgery. 69(4): p1195-1206. 2011
(9) Stephen, I.D., Law Smith, M.J., Stirrat, M.R. et al. : Int J Primatol 30: 845–857. 2009
(10) 市田 正成: 匠が教える美容外科注入術 ヒアルロン酸・ボトックス・脂肪注入によるアンチエイジング: 文光堂. 2018
(11) 大慈弥 裕之, 古山 登隆 他: 目もとの上手なエイジング―眼瞼下垂から非手術的美容医療, エイジング世代のメイクアップまで―. 2021
(12) 川田 暁: 美容皮膚科ガイドブック第2版: 中外医学社. 2019
(13) Aesthetic Plast Surg. 2026 Apr; 40(2): 193-201

監修・取材協力

川スキンクリニック(品川美容外科グループ) 横浜院 院長 方波見 有貴 先生

品川スキンクリニック(品川美容外科グループ) 横浜院 院長
方波見 有貴 先生

獨協医科大学医学部を卒業後、東京都健康長寿医療センター、東京逓信病院などでの勤務を経て、2019年より美容医療の分野へ。2024年からは品川スキンクリニック(品川美容外科グループ) 横浜院の院長を務めている。美容医療を通じて、患者一人ひとりがより自信を持って前向きに過ごせるよう、日々の診療に取り組んでいる。

品川スキンクリニック(品川美容外科グループ) 横浜院

住所:神奈川県横浜市西区北幸1-1-8 エキニア横浜6F

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