年齢とともに顔や体の老化現象はいたるところに現れるもの。“最近、顔が疲れて見える”“若い頃に比べて体型が崩れてしまった”という悩みを抱える方も多くいるのではないでしょうか。

老化を食い止める方法として「アンチエイジング医学」が大きな注目を集めています。

今回は、⾃由が丘クリニック 理事⻑ 古山 登隆 先⽣に、アンチエイジングの基礎や美しさの秘訣、効果的なアンチエイジングの方法について、お話をうかがいました。

アンチエイジングは、「老化は病気」の考えに基づくもの 

――「アンチエイジング」とは、どういった考え方なのでしょうか?

アンチエイジングは分かりやすく言うと、「抗老化」という意味です。1995年ころから、老化現象に抗うべくブレーキをかけ若さを保つ「アンチエイジング」という概念が登場しました。

ハーバード大学のシンクレア教授は「老化は病気である」と唱えましたが、寿命が延び、老化のメカニズムが解明されるにつれ、老化を予防、治療する「アンチエイジング医学」が注目されるようになりました。

「見た目」のアンチエイジング医学は、いま大きく進化 

――「アンチエイジング医学」とは、どのような医学なのでしょうか?

アンチエイジング医学とは、「病気の治療」を目的とした医学の先をいく、健康な人をさらに健康にする予防医学の最たるものであると言えます。

寿命が延びたことにより医学会全体が、寿命の延長だけではなく、体の「機能」の向上にも目を向けるようになりました。そして次は「形態」というように、医学は前進していきました。

アンチエイジング医学の中にもさまざまな領域があります。私は形成外科出身ですが、形成外科はマイナスからゼロの状態にする医療ですが、美容外科はさらに、このゼロをプラスにもっていく医療です。私たちのしていることは、簡単に言うと、車の修理のなかでも板金塗装に例えられます。見た目を美しく保つことで、皆さんのQuality of Life(生活の質)を底上げしていく、これが「見た目」のアンチエイジング医学の目指すところです。

海外の学会でアンチエイジングというワードが主流になるつれ、日本でも「抗加齢医学会」が誕生しました。そして、抗加齢医学会の中に「見た目」に特化したグループができ、外見にアプローチするアンチエイジング医学への機運はさらに高まってきました。

近年は、医療材料の進歩や麻酔技術の向上により、「見た目」のアンチエイジング医学はどんどん進化しています。

加齢とともに、骨や筋肉が減る

加齢による変化の画像

――そもそも、顔や肌の老化はなぜ起こるのでしょうか?シワやたるみの原因について教えてください。

老化の原因は、「内」「外」「心」の3つに分かれます。体の外側の老化の原因のひとつとしては、紫外線によるダメージが最も大きいでしょう。日差しを浴びすぎることで活性酸素が細胞を壊し、肌のシミやしわにつながります。加えて、最近は環境汚染の影響も見逃せません、その他には、乾燥もしわの原因になります。

体の内側からのケアももちろん大切ですので、不規則な生活により適切に栄養が取れていなければ、それは老化の原因になります。そしてあとは「心」です。ストレスの多い生活を送っていれば、顔も体も老化していきます。

シワやたるみといった老化現象は、形態学的に説明すると「萎縮」になります。つまり体内に水分を保てなくなり、枯れてきて、萎むということですね。ヒトの身体は加齢とともに縮みます。そして、いったん萎むと次は「拘縮」といって、固まる現象が起きます。これが、見た目の老化の一番大きな原因です。

簡単に説明すると、加齢とともに骨や筋肉が全体的に減って脂肪が下がってくる。これは、体全体に起きる現象です。例えば、若いころは筋肉が盛り上がっていたプロレスラーの方でも、歳とともに胸の筋肉が垂れ下がっている、そんな姿を見かけたことはありませんか。あれが、まさに「老化」です。これが顔におきると、顔のシワやたるみが発生します。

骨が小さくなり筋肉も脂肪も減ったら、容積が減るのだから、顔も全体的に小さくなるはずなのですが、加齢によるたるみは、横に伸び広がります。そうして、締まりのない間延びしたルックスになってくるのです。

"年相応”はもう古い

スキンケアをする女性の画像

――どんなことをきっかけに「アンチエイジング」を始める方が多いのでしょうか?

アンチエイジングを行う方でも、男性と女性ではモチベーションが異なります。しかし、共通して言えることは、多くの方が、ひと昔まえのように“年相応でいい”という感覚ではもう古いと考えていることです。

男性でアンチエイジングに積極的に取り組まれる方は、いわゆるエグゼクティブが中心です。最近は若い世代も増えています。若い方のほうが、柔軟に考えている方が多く、彼らは仕事上も若く見えるほうが得策だと考えているのでしょう。

「メラビアンの法則」をご存じでしょうか。人のコミュニケーションで視覚情報が55%を占める、という法則です。見た目の老化のメカニズムが解明されてきて、それに対してソリューションがある。それを安全に使えるならそれを利用しない手はないですよね。

女性の場合、アンチエイジングに関心をもつのは同性代の他人との比較が契機になることが多いようです。女性の場合は、起きた時に若々しい自分の表情をみることが自分にとっての元気の糧になる。つまり「自分に対するメラビアンの法則」を重視している傾向にあります。

当クリニックの患者さんは、ほとんどアンチエイジング目的で、シミやしわ、たるみから、アプローチされる方が大半です。

美しさは「知性」と「バランス」

女性の画像

――「アンチエイジング」を行う上で、大切なポイントを教えてください。

私が常日頃から申し上げていることは、美しさとは“知性”である、ということです。そして、見た目の美しさにおいて一番重要となるのは“バランス”です。

例えば顔の場合には、「セントラルトライアングル」と呼ばれる左右の眉尻からあご先を結んだ顔の中央の逆三角形が整っていることが、若々しい印象をつくる上で重要なポイントのひとつです。美しいと言われる顔には、“美のバランス”があるのです。

アンチエイジングも“バランス”が重要です。すべての人が同じような顔や体になる必要はありません。ただ、もって生まれた自分の才能を十分に発揮できるよう、自信や可能性に磨きをかける、そのひとつの手段として、適正なエイジング対策をすることが今やとても大事な時代になってきたと考えています。

アンチエイジングの基本は、適正な食事、運動、睡眠、紫外線対策

――具体的には、どのような方法でアンチエイジングできるのでしょうか?

適正な食事、運動、睡眠、紫外線対策がアンチエイジングにおいては重要です。先ほども申し上げましたが、何事も“バランス”が大事ですので、やり過ぎはよくありません。

食事は腹八分目を心がけることが一番大事です。食べ過ぎは消化器官の負担につながります。また食べる回数ですが、私は1日2食でいいと思います。時間をあけて食事を摂ることで、消化器官を休ませることができます。食べることにムダにエネルギーを使うと肝、胆、膵のいわゆる消化器官が疲れてしまい、老化につながります。

運動も、過激に行う必要はありません。過度な運動は逆に関節を傷めてしまいます。適度な運動を心掛けましょう。

人の睡眠は「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という質の異なるふたつの睡眠で構成されているのですが、アンチエイジングの観点では大脳を休める「ノンレム睡眠」の質を保つことが大切です。質の良い眠りを得るためには、就寝の2~3時間前には入浴をするのがおススメです。でも何よりも大事なのは、ご自分にあった睡眠のルーティンを見つけることです。

紫外線対策は、もちろんアンチエイジングを考えるうえで重要です。しかし、これもやり過ぎは良くありません。海外では、小麦色に焼けることはステイタスでもあります。過剰に紫外線対策をとるのではなく、日々の生活を楽しめる程度にやっていただきたいと思います。

美容医療は賢く使う

――美容医療では、どのようなアンチエイジングの方法がありますか?

美容医療では、さまざまな治療法でアンチエイジングを行うことができます。

例えば、レーザー治療でシミや色ムラなどの肌のアンバランスは整えることができますし、ボツリヌス注射やヒアルロン酸注入も、アンチエイジングのための治療のひとつです。

美容医療は、2000年ごろから一気に治療法が出てきて、治療に用いられる製剤が大きく進化しています。以前よりもより安全に治療を受けることが可能になっていますので、適正に利用するのが賢い選択と言えるでしょう。ただ、医師による技術のばらつきはありますので、治療を受ける医療機関はきちんと選んだほうがいいですね。

エイジングに悩む方へのアドバイス

――最後に、エイジングに悩む方へのアドバイスをお願いします。

エイジング対策はもはや当たり前になすべき時代です。歯も、噛めればいいだけではなく、歯並びや白さが重要とされる時代に変わったのと同様、顔や体の美しさについても発想の転換が必要です。

美容医療はいま大きく進化していますので、エイジングに悩んでいる方は、是非活用してください。美容クリニックに予約の電話をする、そしてクリニックのドアを開ける、その一つ一つステップを踏んでいくことで、昨日よりも美しい自分へと近づいていくことができます。

取材協力

医療法⼈社団 喜美会 ⾃由が丘クリニック 理事⻑ 古⼭ 登隆 先⽣ 医療法⼈社団 喜美会 ⾃由が丘クリニック 理事⻑ 古⼭ 登隆 先⽣

医療法⼈社団 喜美会 ⾃由が丘クリニック 理事⻑ 古山 登隆 先⽣

北里大学医学部卒業。同大学チーフレジデント、外科研究員、形成外科講師を経て、1995年自由が丘クリニックを開設。横浜市立大学 医学部 非常勤講師、国立大学法人千葉大学 医学部形成外科 非常勤講師などを務める。日本形成外科学会認定形成外科専門医。ヒアルロン酸やボツリヌストキシン製剤の注入、レーザーなどを組み合わせた、メスを使わずにより美しくなるためのケアを主に行う。